ビジネス

2018.12.06

生まれてよかったを増やす、京都発「優しい革命」

「taliki」代表取締役 中村多伽

「借金まみれになった」「風俗がやめられない」「生きるのがつらい」──。京都御所のすぐ隣、窓から同志社大学キャンパスを見渡すコワーキングスペース「タリキチ」には切実な悩みが寄せられる。

「起業家はしんどい。うまくいかない、死にたい、やめたい。そんな気持ちになっても、バッターボックスに立ち続けることが成功の鍵。頑張れない時のボトムを支えたい」とタリキチを運営するtalikiの代表取締役、中村多伽は言う。

大学入学直後からカンボジアの教育支援に携わり、小学校を2校建設。NY留学中には報道番組のインターンとして大統領選を取材。輝くばかりの学生生活のようだが、世界の巨大な歪みを前に自らの存在の意味を問い続け、死も考えた。

有名企業の内定を断り起業したtalikiのビジョンは「命を落とす人、死ぬよりつらい人の絶対数を減らすシステムを創る」。2カ月間のアクセラレータプログラムは連続起業家やVCがサポート。オープンイノベーションの新規事業も始まる。「人は自分のためだけに生きられるほど強くない。人のために生きて、必要とされてこそ、幸せになれるんです」。

中村多伽◎1995年、東京都生まれ。京都大学卒業。4年生時の2017年6月に学生団体talikiを立ち上げ、同12月に家入一真やEast Ventures、Skyland Venturesから出資を受け起業。近畿圏で若手社会起業家向けプログラムを展開。

文=成相通子 写真=帆足宗洋

この記事は 「Forbes JAPAN 新しい現実」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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