Our Oceanの第1回大会は、アメリカのジョン・ケリー元国務長官らが提唱してワシントンDCで行われた。その後、第2回がチリ、第3回は再びアメリカのワシントンDC、第4回がマルタ、そして今回がインドネシアで、アジアで初の開催となった。
大会には、毎回、イギリスのチャールズ皇太子殿下やモナコのアルベール2世(モナコ大公)をはじめ、各国の著名な君主や首脳たちが集うが、今回は、インドネシアのスシ海洋水産大臣が、100数十隻の違法漁業船を文字通り木っ端微塵に爆破させたことで有名となり、注目の的であった。
日本からも環境省などから数名が参加していた。3000名規模の会議で、日本のデリゲーションが数名で寂しさを禁じ得なかったが、高橋康夫環境省地球環境審議官の発表に加え、NGO枠で笹川平和財団からの登壇もあり、今回参加を回避して非難の的となっている中国政府に比べると、世界各国との協調性は印象づけられた。
ケリー元国務長官の真剣さ
会議は、様々なステークホルダーの協働を促し、具体的なコミットメントを表明し、実現することを目的としている。ケリー元国務長官も、「こうしたいと言うだけではなく、数値目標を掲げたら具体的アクションプランも掲げ、結果を出すべきだ」と何度も強調していた。実際、2014年の第1回大会以来、Our Oceanは、18億ドルと1240万平方kmの海洋保護区のコミットメントを実現させてきた。
海洋環境の改善は、経済発展、気候変動改善、食の安全に欠かせない。しかしながら、人間の脅威は、すでに漁業、自然破壊、違法薬物取引などの海上犯罪にも及んでいる。そこで会議のテーマには、海洋保護区の拡大、持続可能な漁業の推進、海洋汚染の撲滅、気候変動への対応、の4つの継続的テーマに加え、今年は持続可能な海洋経済と海事の安全保障という2つのテーマも掲げられた。
大会議場では、世界のリーダーたちが議論するメインステージに加え、後方ステージでは、自主的な発表が活発に行われた。ユースのセッションは毎回行われており、筆者も第3回大会では、アメリカ大使館からの要請を受けて、学生を2名送りこみ、彼らの充実したレポートを受け取った。
自主的なサイドイベントも無数に開催されており、実はこれが重要なネットワーキングの機会であり、世界各地から集まる同胞たちと会議をセットする絶好のチャンスでもある。筆者もいくつかの食事会やサイドイベントに招待されたり、仲間内のミーティングを重ねたりしたが、ブルームバーグフィランソロピー主催の朝食会では8600万ドルの具体的な資金提供が発表され、20名程度の少人数でアクションプランを確認することができた。