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熱海の内側に帯びる熱。移住ライターのルポタージュ

第1回『あたみ着物まち歩き』の様子。駅前商店街を散策した後、歴史的建造物の起雲閣を訪ねた

熱海は着物の似合う街だ。観光客が浴衣に下駄で街を散策する光景は昔と変わらない。また、今も50近くの置屋に120名ほどの芸妓が所属しており、艶やかな着物姿でレトロな夜の街をそぞろ歩く。

そんな熱海で今年、着物を使った地域おこしイベントがスタートした。企画したのは、熱海で写真館を営む地元出身者と昨年東京から移住してきたばかりのクリエイター。両者がどのような化学反応を起こしたのだろうか?

街に華やぎを与えた着物イベント

筆者がまだ熱海に引っ越してきたばかりの昨年末、前回の記事で紹介したゲストハウスMARUYAの軒先で一杯飲んでいた時のこと。隣にいた男性に一枚のチラシを渡された。見ると、「あたみ着物まち歩き」と書かれている。熱海駅前に集合し、着物姿で駅前商店街を歩き、熱海の歴史ある元別荘である起雲閣を見学するのだという。


第三回『あたみ着物まち歩き』の様子。駅前のレトロな街並みに浴衣がよく似合う。撮影:たかはしよしこ

「着物はレンタルできるので、是非参加してください」とのこと。「地元の方ですか?」とたずねたところ、まだ移住して間もないとの答え。旅行で10年ぶりに熱海に訪れ、居心地の良さを感じ、何度も遊びに行くたびに街の魅力に惹かれ、ついに移住を決断したそうだ。名前は永田雅之さん。フリーランスで映像制作やイベント企画の仕事をしているという。

「原稿が終わっていれば是非」とお茶を濁したのだが、案の定、2月のイベント当日は〆切の真っ只中。それでも何とか外へ出て、まち歩きの様子を見ることができた。50名ほどの着物姿の人々がのぼりに先導されながら駅前のアーケードを練り歩いている。

若い女性の参加者が多かったせいもあってか、駅前の通りが普段より随分華やいで見えた。一行はその後、早咲きで知られる糸川沿いのあたみ桜を堪能し、起雲閣へ向かったようだ。満開のあたみ桜に、さぞかし着物が似合ったことだろう。

A-Bizによるマッチングが功を奏する

その後、第2回、第3回と続いた「あたみ着物まち歩き」だが、筆者は不運にも熱海に不在で参加が叶わなかった。しかし、このイベントの成り立ちに興味が湧いた。そこで永田さんにコンタクトを取ったところ、立ち上げメンバーを集めて取材に応じてくれた。


第2回『あたみ着物まち歩き』では、熱海芸妓見番歌舞練場を訪ね、伝統的な芸妓の踊りを鑑賞した


「レンタル着物サービスをやっていることもあり、熱海を着物で活性化したいという想いがあったんです。最初はどこかで着物ファッションショーをやって、1回きりのイベントで終わらせようと思っていました。そこで、A-biz(熱海市チャレンジ応援センター)に相談に行ったんです」

そう語るのは、熱海市内で写真館「スタジオしゃらく」を営む鈴木信太郎さん。子供の頃に芸妓さんが着物で街を歩いていた姿が脳裏に焼き付いているという。A-Bizで“この人に意見を聞いて見ては?”と紹介されたのが、移住したばかりの永田さんだった。

「ファッションショーもいいけれど、もっと街を巻き込んで何かやれないかと考えたんです。熱海には観光客が戻ってきている。だから、駅や駅前の商店街を使うと、より発信力の高いイベントになるはず。そう考えて『 “まち歩き”はどうでしょう』という提案をしました」(永田)

「永田さんはイベントのプロフェッショナル。そのアイデアを聞いて、是非やりたいという気持ちになりました」(鈴木)

文=高須賀 哲

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