2. 前向きなフィードバックを増やす
私の行った調査では、自分の部下の大半が優れた成果を上げられると信じている管理職は71%だった。一方で、自分の上司は前向きなフィードバックを伝えるのが上手だと考えていた従業員はわずか18%だった。
ここでの大きな問題は、管理職が良い点よりも悪い点に注力しがちだということ。管理職の能力は問題解決手腕で評価されることが多く、褒めるのがうまいという理由で評価されることはほとんど、あるいは全くない。そして、優れた問題解決者として評価されるには、そもそも問題やネガティブなこと、直すべきものがなければならない。
上司は、良い点よりも問題を伝える方にはるかに多くの時間を費やすため、マネジメントのプロセスはネガティブな方向にゆがめられる。良い従業員が悪いことばかり聞いていると、自信が損なわれ、最終的にはパフォーマンスが下がってしまう。
自分が部下と交わすコミュニケーションを2、3日見つめ直し、このネガティブなサイクルから抜け出そう。自分の言葉に注意を向け、どのような口調で話しているかを考える。「問題はこれで、ここがまずかった」とネガティブに話しているだろうか? それとも、従業員の働きぶりを褒め、前向きなフィードバックを与えているだろうか? ポジティブとネガティブの得点表を作り、問題や修復が必要な点について話した回数、前向きなフィードバックをした回数をそれぞれ記録しよう。
ネガティブな会話がポジティブな会話を上回るようでも、落胆しないこと。その場合は「正の強化」を与える機会を探せばよい。正の強化は、従業員に言葉で報酬を与えることで、正しいことをしていると理解させる教育法であり、褒め言葉とは異なる。こうすることで、あの報酬は心地良かったのでもう一度実行したい、という反応が生まれる。
前向きなフィードバックをうまく与えるコツは具体性だ。「あの報告書は良かった」と言うだけでなく、どの部分が良かったか、どこをもっと追求してほしいかを具体的に説明しよう。例えば「あのジョーンズの報告書を締め切りの2時間前に終わらせ、追加のデータ分析を入れてくれたのが本当に素晴らしかった」と言えばよい。
多くの人は、良いパフォーマンスを発揮する才能やスキル、考え方を備えているが、自信に欠けている。ポジティブなフィードバックとやりがいのある目標を通して従業員の自信を培い、その潜在能力を発揮させよう。