CMGが徴収した金額は今年だけで4500万ドルに達し、2019年はさらに1億ドル(約113億円)増える見込みだ。
CMGは当初、DJやプロデューサーがユーチューブで配信したEDMコンテンツを対象としていた。楽曲がネット上で拡散して人気が高まっても、本人が気づかないケースが多かった。CMGが彼らに代わってロイヤリティを徴収することで、アーティストたちは思いがけない収入を得ることができる。
CMGの共同創業者でCEOのJonathan StraussとCOOのAlexandre Williamsは、有能なアーティストを発掘し、瞬く間に業界で知られる存在となった。同社は人気DJのマシュメロ(Marshmello)やTekashi 6ix9ine、Migosなどと契約を結んだ。同社と契約するアーティストの多くは月間1万ドルを稼ぎ、10万ドルを超えるケースもあるという。
現在32歳のStraussと31歳のWilliamsは高校時代からの友人で、2015年にCMGを立ち上げた。
「私は事業に100万ドルを出資したが、すぐに使い果たしてしまった。9カ月後にある投資家が225万ドルでマイノリティ投資を申し入れてきた。そこから急成長が始まった」とStraussは話す。
彼らはアーティストに次々と声を掛けてストリーミング業界の問題点を伝え、ロイヤリティを彼らの代わりに徴収することを約束した。その後、CMGは音楽配信とパブリッシングを行う事業を立ち上げ、多くの主要レーベルと著作権管理やA&R契約を結んだ。
デイトレで稼いだ金を1日で喪失
Straussは18歳のときに父親から大学の学費として7万ドルをもらった。彼はデイトレーダーとなり、28万ドルまで資金を増やしたが、その後1日で全てを失ったという。彼は車を売って得た資金で映画業界向けのベンチャーを大学の寮で立ち上げた。初年度で25万ドルを稼ぐなど事業は軌道に乗り、Strauss は20代で100万ドルを貯めた。
彼はその資金を使って、Williamsと共にCMGを設立した。一方のWilliams は、CMGを設立する前に独立系レーベル向けにアップルやスポティファイ、ユーチューブなどのDSPに音楽を配信する企業に勤めていた。
「インディーズ系アーティストはレーベルを通さずに直接SoundCloudやユーチューブに動画を配信する事例が増えている。こうした楽曲はレーベルを通すよりもはるかに多くの人にシェアされている」とStraussは話す。
大きなビジネスチャンスに気が付いた2人は、EDM業界のあらゆるアーティストに会いに行ったという。「我々は業界の問題点についてアーティストに啓蒙を行った」とWilliamsは言う。
CMGは、Williamsがかつて務めていた「Label Engine」を傘下に収め、同社が保有する顧客リストやデータを使って複数のプラットフォーム上で楽曲のマーケティングを行った。同社の初期メンバーで、16歳で入社したJacob Paceは、経営陣に対して10代のファン100万人を抱える「Flighthouse」を買収することを進言した。