11月28日の決算発表で、パタゴニアは1000万ドルの追加利益を計上したが、これはトランプ政権が昨年導入した「無責任きわまる企業減税措置」のおかげであると述べた。米政府は企業の税率を35%から21%に引き下げた。
パタゴニアはこの1000万ドルを事業に再投資するのではなく、無農薬農業を推進する団体や、気候変動と戦う非営利組織などに寄付すると宣言した。
「我が国の政府は気候変動がもたらす危機を無視し続けている。これは非常に許しがたい」とシュイナードは声明で述べた。
「今求められているのは、家族経営の小さな農場や牧場に対する支援であり、この惑星を破壊し、食料を毒物で汚染する化学メーカーに報酬を与えることではない。我々は貴重な土地や水資源を、彼らから守らねばならない」と彼は続けた。
パタゴニアは、企業に対する減税措置で最も利益を得ているのは、ガスや石油企業であり、彼らは数十億ドルもの余分な収入を得たと主張している。一方で、米国で気候変動の調査にあたる団体「Global Change Research Program」は先日発表したレポートで、異常気象の頻発や気候変動が、さらに悲劇的な事態をもたらすと予測した。
「今回の減税措置は、最悪のタイミングで実行された」とパタゴニアは声明で述べた。
シュイナードは1年前の昨年12月にも、トランプを強く非難する声明を出していた。当時、トランプ政権はユタ州の2カ所のナショナルモニュメント(国定記念物)指定保護地域を、大幅に縮小する決定を下した。背景には現地での資源開発や商業利用を促進する狙いがあった。
これに反対するパタゴニアは公式サイトを真っ黒に変え、白抜きの文字で次のようなメッセージを表示した。「大統領はあなたの土地を盗んだ(The President Stole Your Land.)」
その後、シュイナードはトランプを告訴した。トランプはこの訴えをユタ州の裁判所に差し戻そうとしたが、9月に裁判所はこの件を、首都ワシントンの連邦裁判所の公聴会にかけることを決定し、現在も審理が続いている。
大統領に対し非難の声をあげることは、パタゴニアの業績に前向きな結果をもたらした。パタゴニアCEOのRose Marcarioは2017年、カリフォルニア州の大学で「環境に対して良い行いをすれば、我が社の利益は伸びる」と話した。
パタゴニアはトランプ政権が誕生するはるか以前の、1985年から環境団体を支援しており、2002年には売上の1%をNPOに寄付する基金のPlanetを設立した。同社がこれまで環境団体に支出した額は1億7500万ドルに達している。
現在80歳のシュイナードは、パタゴニアの日常的な業務からは離れているが、アウトドアに燃やす意欲は変わらない。広報担当者によると彼は今年の夏の休暇を、フィッシングをして過ごしたという。