自宅から外国の子どもに英語を ネット教室、米国で人気上昇中

stockfour / Shutterstock.com

大半の教師は、一日中授業をした後には家に帰って休みたいと思うだろう。しかし教師の中には、低い給料を補うため副業を行う人も多い。授業は教室で行うものと思われがちだが、教師の働き方の幅はテクノロジーの発展によって拡大した。その最前線にいるのがバーチャル教育企業で、国外の生徒を教える機会を教師たちに提供している。

この業界で恐らく最も有名な企業はVIPKIDだ。米国人の教師数万人と中国の生徒らをつなぐ同社は、2013年に米雯娟(シンディ・ミ)によって創業された。米は、中国では英語教育に対する多くの需要がある一方で、ネイティブの英語教師が不足していることに目をつけ、グローバルなオンライン教室を立ち上げることでこの需要を取り込もうと思い立った。

もう一つのオンライン教育企業DaDaもまた、同様の問題を抱えていた郅慧によって2013年に立ち上げられた。郅は自分の息子のために英語教師を探していたが、既存の英語塾に物足りなさを感じていた。授業は期待するレベルに達しておらず、息子の送り迎えにも時間がかかっていたのだ。郅はこれらの問題を解決するべくDaDaを設立した。

VIPKIDやDaDaのようなバーチャル教育企業は、中国人向けの言語教育環境を改善するだけでなく、教師にも良い収入源を提供している。働ける時間帯も米国の教師にとって都合がよく、本業の教師として働く前後にオンライン授業を教えられる。教師は自宅や、空となった教室から、追加で数時間の授業を行うことができる。

ユタ州ニブリー在住のブラウン夫妻は、2人の小さな子どもを育てながら、夫婦そろってVIPKIDの教師をし、副収入を得ながら中国人の生徒たちとの関係を築いている。夫婦は約2年間で計約900人の生徒を受け持ってきた。妻のミケルは、子どもたちが朝起きる前にオンライン授業をし、日中は子どもたちと過ごしている。夫のニックはフルタイムの本業の前後と、週末の深夜を利用してVIPKIDで教えている。この仕事により、夫婦は新車を購入でき、安定した副収入も得られた。

だが、2人にとってこれは単なる収入源ではない。本当の喜びは、生徒たちの成長ぶりを見ることだ。「初めは英語を話すことを怖がっていた子どもたちが、完全に自信を持つようになるのを見てきた」とミケル。彼女は生徒の英語力上達以上に、外国の子どもたちとの関係構築を楽しんできた。「中国の文化について多くを学んだし、生徒に米国の文化を教える機会も持てた」
次ページ > 「旅行先でも教えられる」

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事