ターキーもミニマル化、米社会を変えつつあるミレニアル世代

Elena Veselova / Shutterstock.com

ミレニアル世代が消費しなくなったせいで、さまざまなものが消滅しつつある。紙ナプキンやシリアル、デパートといったものだ。彼らが次に破壊したのは、感謝祭(サンクスギビング)のディナーだ。ミレニアル世代は、10kgを優に越すようなターキー(七面鳥)ではなく、小さめのものを買うようになった。

ブルームバーグはこう報じている。「ノーマン・ロックウェルが描いた、丸々と太ったローストターキーを大皿に載せてグランマが食卓に運んでくる光景はいまでも一般的だ。しかし、家族サイズが縮小し、食べ残しに対する罪悪感がふくらみ、平飼いのターキーが好まれるようになったことで、祝祭の日の食卓を飾る主役ターキーは小型化が進んでいる」

アメリカ農務省によれば、小さめのターキーへの需要が増えているという。重さが30ポンド(約13kg)もあるターキーより、12ポンド(約5.4kg)から14ポンド(約6.3kg)ほどのサイズを選ぶ人が増えつつある。ミレニアル世代は、さらに小さい6ポンド(約2.7kg)か、それ未満のターキーを好むようだ。

小さいターキーが選ばれるようになった理由としては、家族の人数が減っていることや、感謝祭のために大量のごちそうを用意しなくなったことなどがある。

米国勢調査局の報告によれば、アメリカ人のうち1億1060万人は独身だ。ひとり暮らしで、感謝祭にごちそうをたらふく食べるつもりがなければ、小さめのターキーを選ぶのは当然のことだ。残り物のターキーで作ったサンドイッチをひと月も食べ続けたい人などいるわけがないのだから。

ミレニアル世代はまた、キッチンの狭い小さなアパートや住宅に住む人が増えており、30ポンドものターキーを焼くスペースがない。全米住宅建設業協会(NAHB)が実施した調査から、ミレニアル世代はコンパクトな生活を好むことが明らかになっている。

また、ボストン・グローブ紙の記事は、こう述べている。「ミレニアル世代は、それよりも上の世代と比べて、自由に使える現金や時間が少ないので、手ごろで、メンテナンスをさほど必要としない家を求めている。広さよりも、効率性が高い省エネタイプのスマートな住宅に関心があり、スマートフォンをリモコンにしてエアコンや電化製品をコントロールしたいと思っている」

休暇を家族と過ごす独身のミレニアル世代もいるが、それでも大きなターキーが必要にならないのは、彼らがパートナーや家族を連れてこないからだ。国勢調査局によると、ミレニアル世代では、結婚したり子どもを持ったりする人が減っている。

ミレニアル世代が小さいターキーを好むのには、ほかにも理由があるようだ。ターキーの切り分け方を知っているミレニアル世代は42%にも満たない。狭いキッチンでは、小さいターキーのほうが、扱うのも切り分けるのもラクなのだ。

ミレニアル世代が感謝祭ディナーに及ぼした影響は、ターキーの大きさだけではない。ニールセンの調査によると、ミレニアル世代は、家族よりも友だちと、ごちそうを囲むことを最も好む世代だという。家族に感謝を伝える感謝祭ではなく、友情を祝い合う「フレンズギビング」というわけだ。

ミレニアル世代はさらに、ごちそうの主役として、肉の代わりに豆腐でできた「トーファーキー(Tofurky)」や、ほかのミートフリー食材を選ぶ傾向にある。

感謝祭の食卓を飾るターキーが巨大であるにせよ小型であるにせよ、これからは、食品の無駄を減らし、残ったターキーはみんなで仲良く食べ切ることを心がけたい。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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