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元新聞記者のダイバーシティ・レポート


それからも変化は続きます。2013年の25周年を機に、コンサートを提唱しカリスマ的な存在だったアイネスさんがトップを退き、コンサートを続けるか議論が起きました。

「見直しても、目指す収益には達しませんでした。会場の昭和女子大・人見記念講堂は座席が2千ほど。チケットが売れるのは1500~1600席程度。合唱団員は150~160人ほどでした。JVCの広報としての価値や、楽しみにしている参加者を思うと、収益だけでは測れず決断は難しかったです」と石川さん。

昨年、コンサートの終了が決まりました。

企業からの協賛が増えなかったのは不況だけが理由でなく、背景を石川さんはこう分析します。

「社会貢献の形が変わってきました。30年たつとNGOの数も増え、企業の支援活動のスタイルも多様に。企業がNGOを支援するというより、直に行動し、自社事業の『らしさ』を生かした社会貢献活動が増えたと思います」。例えば化粧品の会社なら、高齢者や患者さんにメイクをするなどの活動が盛んになったということですね。


練習風景(JVC提供)

有志で合唱団結成、自発的な活動へ

今年のコンサートは指揮者にオランダの重鎮、ヨス・ファン・フェルトホーフェン氏を招いて、最後のメサイアです。

合唱団員は多く、30代から91歳まで200人を超えました。初めての人も合宿を含め、集まって練習しているうちに上達するそう。募金しようと思って知った人、楽譜を読めない人、音大出身者などレベルや動機も様々。30年、参加する女性もいます。

JVCの石川さんも人生の変化があり、コンサートを担当してきた16年の間に2人の子の母親となりました。毎週、水曜の夜にある合唱団の練習は、子どもたちを家族に任せて参加します。筆者が「石川さんは歌わないんですか?」と聞くと「一緒に練習して、歌えばよかった」と惜しんでいました。

合唱団のメンバーにコンサートの終了を知らせてアンケートを取ると、「寂しい」「受け皿を」「一般の人から遠ざからないで」との声があったそうです。「歌ったり、コンサートに行ったりして国際協力を身近に感じられたのに、という思いです。せっかくできた人と人とのつながりをどう維持するかも課題でした」(石川さん)

でも、嬉しいニュースがあったのです。合唱団の有志が「国際協力のために歌う」精神を受け継ぐため新しい合唱団を作り、先々の国際協力コンサートを計画しているとのこと。筆者も、早い展開に驚きました。

JVCは「ボランティア」を「自発的意思を持って責任ある行動をとる」と定義しています。「奉仕」だけではない自発的な行動は、心から楽しめますし、周りの人にも元気を運びますね。これからの活動にも注目です。

文=なかのかおり

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