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国際協力コンサートの様子(JVC提供)

日本国際ボランティアセンター(JVC)は1989年に国際協力コンサートを始めました。企業から寄付を得て合唱団はボランティア参加、「メサイア」などの大曲に挑戦してきました。収益はJVCの活動にあてられます。

12月1日の公演で30年の歴史に幕を下ろすと知り、16年前から関わってきたJVCのコンサート事務局・石川朋子さん(46)に背景を聞きました。


激動の平成を合唱団と歩んだ石川さん(JVC提供)

順調に協賛増えるも「平成不況」

JVCはアジア・アフリカ・中東、東日本大震災の被災地で支援活動をする認定NPO法人です。1989年、JVCの活動を知った米国人のアイネス・バスカビルさんが「音楽の力でJVCの活動を多くの人に伝え、応援してもらいたい」と発案しました。聖書の教えからボランティア活動に熱心だったアイネスさんは、20人ほどのボランティアで実行委員会を作り、東京でベネフィット・コンサートを開催。

初回の曲を「メサイア」に決めたのは、「苦悩と希望」というテーマが世界の情勢と重なるからだそうです。94年には大阪でも公演が始まりました。ロビー展示やプログラムでJVCの活動を紹介するほかは、純粋に演奏会を楽しんでもらいます。

筆者も、アイネスさんに取材でお会いしたことがあります。アイネスさんは、コンサートのために毎年、米国と日本を行き来し、企業を回って寄付を集め、指揮者やソリストを探していました。

アイネスさんは「歌いたい人は合唱団員として。企業は協賛することで、音楽家は能力と時間を寄付してほしい」と音楽家に声をかけました。その人柄と熱意で活動が育ち、合唱の希望者や支援者が増えました。

JVCの石川さんは「30年前はバブル景気真っ盛りで、日本でも企業の文化・芸術支援活動が急に広がり始めたタイミングでした。今では『国際協力プラスアルファの活動』が一般的になりましたが、当時はNGOや国際協力の活動は知られていなかったので、アイネスさんは先見性がありました」と振り返ります。

「バブル崩壊後の97年は最高収益が1450万円あり、それまでは協賛企業と支援金を順調に増やしていました。ところがその後の『平成不況』で協賛が減り、経費削減や収益の回復が課題となったのです」

社会貢献の形が変わった

そんな状況で、石川さんは2002年にコンサート担当に。企業に電話をすると「リストラしているんですよ、寄付している場合じゃない」と言われた日もありました。

合唱指揮者に合唱団の運営・指導をすべて依頼していましたが、収益を回復するためJVC自らが合唱団を運営することに。反対の声もありながら、思い切って変化を選び、2004年にJVC合唱団を設立しました。

文=なかのかおり

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