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2018.12.01

「第3のストリーミング帝国」で音楽業界を変える起業家たち

「Audiomack」創業者、David Ponte(左)、Dave Macli(右)(Photo courtecy of Aaron Dee)

2012年にDavid PonteとDave Macliは、アーティスト向けに「無料で無制限に音楽を共有できるストリーミングサービス」を思いついた。彼らは3人の仲間と連日深夜まで打ち合わせをし、「Audiomack」を創業した。

Audiomackは、資金に余裕のない若手ミュージシャンが、無料で音源をアップロードできるストリーミングサービスだ。彼らは運営コストを低く抑えることでビジネスを少しずつ拡大してきた。

「我々は5000ドルで会社を設立した。その資金で初期コストの一部をまかない、収益を徐々に拡大してきた」とMacliは話す。彼は、他にもヒップホップ専門のメディアサイト「DJBooth」を立ち上げた。

Audiomackの創業メンバーたちが掲げた目標は、「ファンを増やしたいアーティストを探すこと」というシンプルなものだ。同社は利用者を拡大するために無料でサービスを提供し、広告で収益を得るビジネスモデルを展開した。同時に、サービス品質を高めるためにプレイリストや楽曲のランキングシステムを導入した。

Audiomackは、サービス開始当初から「スポティファイ」や「アップルミュージック」では見つからない最新アルバムや人気急上昇中のシングル、ノスタルジックなミックステープを提供し、若者やヒップホップファンから人気を博した。ユーザーの70%は34歳以下で、今後はレゲエやラテン、アフロビートなどのジャンルを提供しユーザー層の拡大を図るという。

Audiomackの売上規模はこの1年で300%拡大した。DAUは100万人以上で、再生される楽曲数は月間10億曲に達する。同社は、8月に毎月5ドルで利用できるサブスクリプションサービスを開始し、ユーザー数は1万人を超えた。

「一部のユーザーが満足して繰り返し利用してくれるような価値を提供できれば、収益化を図ることができると考えた」とPonteは話す。
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編集=上田裕資

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