米製造業へのトランプの誤解が生む「GMと国に良くないこと」

(Photo by Jeff Swensen/Getty Images)


3. 米国市場への参入には“特別な価値”がある

トランプは以前から、米国はその貿易赤字が示すとおり、貿易を通じて他国から“欺かれてきた”と考えてきた。トランプの見解では、米国市場へのアクセスを得ることは他に類を見ないほど価値あることなのだ。

トランプのこの誤解は、特に自動車業界にとって問題が多い。米国は世界的に重要な市場だ。だが、今年または来年に軽自動車の販売台数が減少するとみられる主要な地域が北米だけであることが、最近の調査で明らかになっている。

これは、米国の自動車メーカーが世界的に事業を展開している限り、それほど重大な問題ではないだろう。世界各地での需要や変化する消費者の好みに応じて、多様化を図ることができる。

ただし、米国市場が関税や報復措置によってその他の市場から切り離されていたとすれば、GMのようなメーカーは需要が縮小する中で、どの場所にある何カ所の工場を稼働させ続けるかについて、再考せざるを得なくなる。

GMは米国を反映?

米国には、「GMにとって良いことは、国にとっても良いことだ」という広く知られた(だが疑わしい)言葉がある。

これは、反対の意味の言葉を使えば、より真実に近づくと考えられる──「GMにとって悪いことは、国にとっても悪い」。米国の製造業をけん引する力に関するトランプの誤解に基づいた貿易政策は、このどちらにも害を与えてきた。

編集=木内涼子

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