書簡の中でザックはVSとその親会社Lブランズに対し、「意識を高め、女性のあらゆる体形を受け入れる」ことを求めた。厳しい言葉が並ぶ書簡はインスタグラムにも全文が投稿され、2万近い「いいね」が付けられている。
ザックはVSに、「何が女性をセクシーに見せるのか、女性たちに示そうとするのはやめるときだ──私たちに決めさせてほしい」などと訴えている。
VSのエド・ラゼック最高マーケティング責任者(CMO)はこの書簡が公開される前にファッション誌ヴォーグのインタビューで、「私たちは誰のサード・ラブでもない、女性たちにとってのファースト・ラブだ」と発言。“大きすぎて潰せない”企業の傲慢さを見せていた。
VSに声は届くのか
業界最大手のビジネスについて、直接競合する他社が変更を求めるのは前例のないことだ。来年初めにVSの新CEOとなるジョン・ミハスがザックの忠告に耳を貸すことを、多くの人が期待しているに違いない。
女性たちの心は急速にVSから離れている。だが、VSはこれまで、その事実から目を背けてきた。売上高が減少し、多くの女性たちがVSを厳しく批判しても、路線を変えることはなかった。
Lブランズが先ごろ行った決算発表では、同社の今年第1~3四半期の売上高は、前年比7.4%増加。一方、昨年は同社の売上高の60%近くを占めたVSは、今年第3四半期に前年比2%の減収となった。
ただ、約2年前に就任し、11月中旬に退任したジャン・シンガー前CEOのリーダーシップの下、VSは昨年第4四半期から今年第2四半期には売上高が前年同期比で増加していた。業績改善に向けたシンガーの努力は、始まったばかりだった。
高齢者ばかりの「ボーイズクラブ」
シンガーは退任の理由を明らかにしていない。だが、高齢男性ばかりの「ボーイズクラブ」とぶつかっていたと考えずにはいられない。ラゼックたちの態度を変えることはできなかったのだろう。