イタリアがブレグジット以上の試練に? 予算案巡りEUと対立

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この観点から考えると、イタリアの国民感情はブレグジットをめぐる英国民投票の背後にあった感情と似ているようだ。どちらの国でも、反EU感情の根源となったのは、経済や貿易の問題よりかは、EUからの押しつけや、自国の政策を自分たちで選べないことだった。

これらは、イタリアが英国と同様、EU離脱の道をたどることを示しているわけではない。英国が他の欧州諸国とどれほど関わりを持っていたとしても、イタリアと他の国々とのつながりはそれ以上だ。イタリア経済はEU諸国とより密接に融合されているし、同国はユーロ圏・連合発足当初からの加盟国だ。一方の英国は、一度もユーロ圏に加盟したことはない。

イタリアが英国のように離脱の道を歩む可能性が少ないとすれば、欧州委員会はその敵対的で高圧的な態度を改める必要がある。域内第2位の経済国だった英国を失ったEUは、現在第3の経済国となり創設メンバーでもあるイタリアとの間に大きな溝を作る余裕はできない。

イタリアは、EUがギリシャに対して行ってきたようないじめの対象としては大き過ぎる存在だ。イタリアとの決裂が現実になれば、大きな経済国がまたもEUを去ってしまうこととなる。それがたとえ部分的なものであっても、EUにとっては非常に危険な展開となる。

編集=遠藤宗生

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