ビジネス

2018.11.29

企業の成長にカルチャーコードが不可欠な理由──HubSpot幹部が明かす

HubSpot COOのJ・D・シャーマン


──HubSpotの「Solve For The Customer」のように明確なカルチャーがあれば良いですが、何がカルチャーかわからないという企業も多いと聞きます。

確かに「うちの会社はカルチャーがない」とおっしゃる人もいますが、気づいていないだけだと思います。必ず従業員の間に何かしらのカルチャーは存在している。

例えば、森林の育成や伐採、建築用資材の製造を行う「Weyerhaeuser」という企業もカルチャーコードを開発しています。木材の企業というと、いわゆるテック企業のようなわかりやすい“カルチャー”を可視化する機会は少ないと思いますよね。

しかし、以前内容を見せてもらう機会があり、そのユニークさに驚かされました。書かれているのは誠実さや透明性といった、比較的馴染みのある内容でしたが、彼ら独自のボキャブラリーで表現されている。

スタートアップから銀行、街のクリーニング業者まで、あらゆる業界において、カルチャーコードは機能するのだと思います。

──仮にカルチャーがあったとしても、ユニークな語彙に言語化していく作業が大変そうです...。

最初から分厚いスライドを表に出そうとせず小さく始めるといいと思います。HubSpotも7年前に初めて作ったときは言葉も精査しきれていなかったですし、何ならフォントもバラバラで、今とは似ても似つかないものでしたから(笑)

ターゲットも社内の従業員に絞って、議論のたたき台を用意する。それに対し、従業員から「これは違う」とフィードバックをもらえばいい。カルチャーコードは繰り返し磨くことで洗練されていきます。

そのためにも決して企業のコンプライアンス規定のような文体で書かないこと。社員が日常的に使っているボキャブラリーや表現を用い、彼らに「自分たちのドキュメントだ」と認識してもらう必要があります。



──“生きた”語彙を使う必要があるということですね。

そうです。あと「してはいけない行動」ではなく「すべき行動」を示す。この意識転換も重要です。従業員が上から下まで前のめりで読み、積極的に実践したくなるような文章が理想です。

だからこそ定期的なレビューが不可欠です。組織も文化も日々変化するものですから。HubSpotも引き続き改良を重ね、より良いカルチャーコードを育てていくつもりです。

文=向 晴香 写真=帆足宗洋

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