「蛇も紐に見える」 変化の時代に必要な楽観性の鍛え方

Dragan Grkic / shutterstock.com


一つは、「変化に対する不安は、ひたすら物量をこなしていくことで軽減できる」ということです。

例えば僕は、新しい転職先での新しい仕事に対して、まずは「なるほど、そうきましたか」と前傾で構え、我慢強く、ひたすらパターンをこなしていきます。初めはストレスがかかりますが、そのうちこなせるようになると思って、楽観しながら淡々と仕事をしていくのです。

やがて少しずつ慣れてくると、どんな仕事でも方程式や攻略法が見えてきます。それは今後も使える自分だけの武器になります。しかしやっと攻略できたと安心していると、また変化がやってきます。基本は、どこまでいってもこの繰り返しです。

ところが、慣れないことを淡々とこなしていくうちに、だんだんと変化に対する不安バイアスが消えていきます。つまり、変化することそのものに慣れていくのです。すると、今度は突然の変化に対して、ちょっとワクワクした気持ちが湧いてきます。「次はどんな困難がきて、それによって自分はどれだけ成長できるだろう?」「次はどんな武器をゲットできるかな」と楽しみになってきます。

一度この好循環に入ってしまえば、過剰な不安バイアスは薄れ、今度は適切に自分を守るための、豊かな相棒に変わるでしょう。

積み重ねが強い武器になる

もう一つは、「失敗しても死なないことを、知る」ことです。つまり、「ここまで落ちても、命までは取られないから大丈夫」と思えるだけの自己効用感のある人は、変化に強いのです。

失敗してカッコ悪い思いをするかもしれませんが、だからと言って人は死にません。実際、明日無一文になったからといって、すぐに死ぬわけでもありません。要するに、変化を面白がる力とは、「人生、どこまで落ちれるか」という意識の広さであり、もっと言えばセーフティーゾーンの強さでもあるのです。

つまり、変化に対しても黙々と対処していけば、その積み重ねが強い武器になること、もう一つはどこかで「まあ、失敗しても死なないし」と思っていること。これらの心構えさえあれば、変化の時代を乗りこなしていくことができるでしょう。そう考えれば、案外不安とは、あってないようなものだと思えてきませんか?

連載:ポストAI時代のワークスタイル
過去記事はこちら>>

編集=Forbes JAPAN 編集部

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事