美味しいパワーが桁外れ 「ひみ寒ぶり」のしゃぶしゃぶ

shutterstock.com


ちなみにこのひみ寒ぶり、登場の仕方がド派手です。秋の終わり頃、北陸の日本海では雷と強風の嵐が起こります。その嵐と共にやってくるのが本格的な冬と、どっしり脂がのったブリ。

この嵐は「鰤起こし(ぶりおこし)」と呼ばれます。海が時化ることでブリが富山湾に留まり、氷見に豊漁をもたらすのだそう。取材の翌年の11月の終わりに自宅で全国のお天気ニュースをチェックし、北陸の日本海側に雷マークがビシッと並んでいるのを確認して一人で興奮しました。「今あそこにうまいブリが来てる!」

そして、重さ6キロ以上で脂ののったブリがたくさん漁獲されるようになると、「ひみ寒ぶり宣言」が出され、市場に出回ります。漁獲量が少ないと宣言が出されないことも。今年はどうでしょうか?

取材ではたくさんのブリ料理をいただきました。ブリのお刺身の盛り合わせから、ブリ大根、ブリの塩焼き、ブリのアラ煮。「もうお腹いっぱい!」というところで登場したのがブリしゃぶです。しかも大きめに切ってある。これは食べるのきついわと思いつつ、2しゃぶしてパクリ……。

多分すごい勢いでエンドルフィンが出ました。満腹の苦しみがスッと引いて、しゃぶしゃぶする手が休まりませんでした。温められることで味が感じやすくなる上、とろけた脂は速やかに舌へ広がる。「おいしい」が脳に伝わるパワーは桁外れ。ひみ寒ぶりを味わうにはブリしゃぶが一番。ご賞味あれ!

連載:夢の食べ物
過去記事はこちら>>

文=高田サンコ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事