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夢の食べもの

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鮮やかな赤色の血合いが目を引くブリの身。全体はほんのりピンク色で瑞々しいつやがある。

見事なブリの刺身は、出汁を沸かせた鍋とともに出された。そう、ブリしゃぶでいただく。やや薄めで大きく切られているその身を、ふつふつとした鍋に2回ほど泳がせる。すっと霜降りになったら、ポン酢タレで頬張る。

お、おいしい……! 刺身よりも身のうま味を強く感じる。なによりあまい。大きめに切られているから、まさに口の中いっぱいにおいしさが広がる。それがあっという間にとろけて消えてしまうのだ。氷見のブリはすごい。

冬の始め。月刊ヤングマガジンで連載していた「海めし物語」の取材に、富山県氷見市を訪れました。氷見は天然の生け簀と呼ばれる富山湾に面し、県内でも有数の漁師町。定置網発祥の地とされその歴史は400年以上も昔から続いています。1595年に京都にいた前田利家が、氷見のブリをお歳暮に取り寄せたという記録も。そんな氷見のお目当てはもちろん、寒ブリ!


(c)高田サンコ/講談社

ブリは春から夏にかけて日本海を北上して、冬は産卵のために南下します。この南下するブリを寒ブリ、氷見で水揚げされたものが「ひみ寒ぶり」と呼ばれます。

「ひみ寒ぶり」はブランド名で、普通のブリとは品質に3つの大きな違いがあります。

まず産卵に備えて脂がたっぷりのっていること。魚は産卵のためにエサをたくさん食べ、体力をつけます。ちょうど氷見に来る寒ブリは脂がのりきっている状態だといいます。

そして定置網漁であること。それも学校のグラウンド3つ分ほどもある巨大な定置網のため、ブリはストレスも少なく、もがき苦しむことなく捕まえられます。

さらに「沖締め」されること。漁獲したブリはすぐさま船に積んだ氷で瞬殺。暴れる時間が最小限にされるため、うま味も鮮度も保たれるのです。

脂ののりの良いブリを、ストレスフリーで捕まえて、鮮度を保つ工夫も細やか。これはおいしいわけです。

文=高田サンコ

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