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ホスピタリティ・ワン代表 髙丸慶

「介護サービスに対するニーズは、患者さんの“生き様”と同じ数だけある」
 
こう話すのは、ホスピタリティ・ワン代表の髙丸慶だ。同社が提供するのは、患者一人ひとりのニーズと向き合ってつくる“オーダーメイド”の訪問看護サービス。今年からやっと国が豊島区で始めた「混合介護」事業を、同社は10年も早い創業時から提供してきた。

「混合介護」とは、入浴や排泄介助など最低限の介護保険適用内のサービスと、生活の質を向上させるために自費負担で行うサービスを組み合わせて、一体的に行うもの。介護保険内・外のヘルパーが同時間内でサービスを提供できない、などの非効率性を改善するための条件緩和の動きが進んでいる。

「いまの介護業界は100円ショップのようなもの。一律の安い値段で最低限のサービスを選ぶしかないと提供側も利用者も思い込んでいます。目指すのは、セレクトショップ。患者さんの希望によって、多様な品ぞろえの中から選べる仕組みそのものをつくるのが使命です」

患者第一の仕組みづくりは、訪問看護にとどまらない。病院勤務のメディカルソーシャルワーカーと、患者の受け入れが可能な訪問看護ステーションとのマッチングをクラウド上で行うウェブサービス「退院支援ナビ」の実証実験中。作業を効率化し、スムーズな在宅治療への移行を可能にするプラットフォームだ。

さらに、「看取り」の現場での24時間付き添いや、その後の遺体処置、納棺までの終末期関連サービスを一気通貫で提供することを目指す。

納棺師を育成する「おくりびとアカデミー」も設立した。狭く閉ざされたこの業界の信じがたい常識や慣習から患者の尊厳を守り、葬儀会社や病院によってばらつきのある遺体処置の技術を科学的なエビデンスに基づいて体系化するために、教育が不可欠だと考えたからだ。

高齢者向け介護産業の市場規模は、2025年には15兆円を超える見込み。病床数は増えないのに、2030年までには約170万人が寿命を迎える予測だ。もはや病院で死ぬ時代ではない。在宅での看取りでは、看護師の役割が重要となる。

「漠然とした介護の不安をまず相談できる、そんな存在になりたい。終末期業界全体の意識と技術を底上げしていきたい」

文=松崎美和子 写真=小田駿一

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