中国の債務問題、対米貿易戦争より重大な理由

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米中の貿易戦争は、金融市場に大きな不安をもたらした。だが、この問題もいずれは収束を迎えることになるだろう。メキシコとカナダとの貿易問題と同じように、米政府が終わらせることになると考えられる。

一方、中国の債務問題は、米国には終わらせることができない。この問題は中国、そして世界の経済に大きな問題をもたらす可能性がある。つまり、中国にとって最大の問題は、貿易戦争ではない。国内外にバブル経済の危険を招きかねない、自国の債務の増加だ。

公平を期するために言えば、米国にも債務の問題はある。日本もそうだ。各国・地域の経済関連データを提供するトレーディング・エコノミクスによれば、政府債務の対GDP比は米国が105.40%、日本が250%となっている。

両国ともに、非常に高い比率だ。ただ、これらの数値はかなり正確なものであり、広く知られている。そのため両国の債券価格と債券利回りは、投資家がポートフォリオに債券を組み込む際のリスクプレミアムにも明確に反映されている。

中国の政府債務の対GDP比は、公式には47.60%という低い比率だ。だが、その数値を“非公式に”把握するのは簡単ではない。それは、政府が貸し手であり、同時に借り手でもあるためだ。国有企業(SOE)と郷鎮企業(TVE)が国有銀行から借り入れをしているように、政府の一部門が別の部門に融資をしている。

それでも、いくつかの非公式な推計は発表されている。例えば、国際金融協会(IIF)は先ごろ、中国の政府債務の対GDP比は300%に達するとの見方を示した。
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編集=木内涼子

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