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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

グランツーリスモSPORTで優勝したイゴール・フラガ選手

世界のトップ16人のレーサーがステージに並び、モナコ国歌が流れた時には、鳥肌が立った。まるで、サッカー・ワールドカップの決勝のスタートを見ているかのような感じがした。

でも、ここF1の聖地で集まった選手たちの戦いは、F1マシンではなく、ゲームコンソールの前で繰り広げられる。世界一のドライビング・シミュレーター、グランツーリスモ(GT)だ。そして、国歌の後に続くのは、グランツーリスモSPORTによる初の世界チャンピオンシップだ。



この大会は、アジア・オセアニア、欧州・中東、北米・中南米での地区予選を勝ち抜いてきたトップ・ドライバーたちがモナコに集結し、初のFIA認定GTネイションズ・カップと、マニュファクチュラー・シリーズで競い合い、ワールド・チャンピオンを決定する盛大なイベントだ。しかもこのシリーズは、世界のモータースポーツを総合的に運営する組織FIAが、初めて本物のモータースポーツとして認めたオンラインのゲームだ。

ネイションズ・カップという世界一のドライバーを決める決勝では、シュミレーター上に東京の首都高、ブラジルのインテルラゴス・サーキット、イタリアのモンツァ、そしてルマンで有名なサルテ・サーキットの4つのコースで開催という設定。それぞれのサーキットで、違うカテゴリーのレースカーが採用された。

スター誕生

やはり、どのスポーツにも皆が愛せるスター選手が不可欠だ。F1の王者ルイス・ハミルトンや、サッカーのクリスティアーノ・ロナウドのように。そして、なんと今回の決勝で、そういうヒーローが生まれた。その名は、イゴール・フラガ。ブラジル出身の20歳で、母国ではリアルワールドのレースに参戦する彼が、バーチャルの世界でも最速の男だということをモナコで証明した。



首都高の第1戦では、フラガ選手が見事にポール・トゥ・ウイン優勝を飾った。しかし、第2戦のインテルラゴスでは、日本代表の山中智瑛選手と接戦の末、山中選手が最後のラップでトップに立って優勝。続く第3戦のモンツァで、フラガ選手はタイヤ作戦を間違えて10位まで脱落。それでも、サルテ・サーキットでの最後のレースで、天才的なドラテクで10位から追い上げ、1位スタートの山中選手やオーストラリア代表のラトコブスキ選手、ドイツ代表のヒザル選手をも追い越して、逆転優勝でワールド・チャンピオンに輝いた。

一方、マニュファクチュラー・シリーズ(チーム戦)では、名門ドイツのニュルブルクリンクでの開催という設定。こちらは、スリリングな最後の一周で日産を抜いて、レクサスが逆転優勝した。



米国代表のティレル・メドーズ、フランス代表のヴィンセント・リゴ、日本代表の川上奏の3人がチームを組んで順番に乗ったレクサスが、フィニッシュまで数百メートルの時点でガス欠になったフラガ・ヒザル・國分組の日産GT-Rを抜いて、勝利を飾った。2位はトヨタ、3位はアストン・マーチンだった。

文=ピーター・ライオン

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