企業が発信した情報は、いつ、どこで、誰に伝わるかわからない。企業と「個」の関係性がどんどんフラットになっている今だからこそ、企業はよりPR(パブリック・リレーションズ)活動を意識的に取り組んでいくべきだろう。
そうした中、"わが社"らしさを表現するCMS(コンテンツマネジメントシステム)「PR Table」を提供し、企業がより本質的なPR活動に取り組めるよう、コンテンツの側面からサポートしているのがPR Tableだ。
同社は本日、総額3億4000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先はグリーベンチャーズ、UB Ventures、DK Gate、みずほキャピタルが運営するファンド。また、11月末日を最終クローズ予定日として、追加で約8000万円の資金調達を進めているという。
PR Tableは2016年10月に大和企業投資、みずほキャピタル、および個人投資家数名からシード資金として3000万円を調達。その後、DGインキュベーション、大和企業投資、みずほキャピタル、静岡キャピタル、ABCドリームベンチャーズから1億5000万円を調達しており、累計6億円の資金調達となる。
今回調達した資金は、企業ブランドのコンテンツ化支援だけでなく、インターナルコミュニケーションからリクルーティングまで、一気通貫して効果測定できるエンタープライズ向けの機能開発と人材の採用活動に充てるという。
記事のフォーマット化を実現、企業がストーリーを書けるように
ニュースやプレスリリースにはならないけれど、企業に眠っている“ちょっといい話”を掘り起こして伝えることで、ステークホルダーと良好な関係を構築してほしい──そんな思いから「PR Table」は始まった。サービスの提供を開始したのは2015年10月。
共同創業者で代表取締役の大堀航(兄)は、「企業が自ら生み出すコンテンツはエモーショナル。企業が能動的にストーリーを生み出し、発信する文化をつくりたい。それによってミスマッチのない社会を実現したい」と構想を描いていたが、最初から想像通りには進まなかった。
企業はどういった内容にすればいいのか分からず、コンテンツをつくってもらえなかったのだ。結果的に、サービスを開始したばかりの頃はPR Tableが請負ですべてのコンテンツを制作。企業ごとに編集者がついて戦略やロードマップを策定し、コンテンツの制作、公開、配信、集客、活用といった一連のプロセスをすべてサポートしていた。
当時を振り返り、共同創業者で取締役の菅原弘暁は「最初から企業が能動的にコンテンツを生み出してくれると思っていなかった」と語る。それを踏まえた上で、PR Tableが採った戦略は自分たちが仲介役となり、良いライターと企業をつなげることだった。
「企業が解決したい課題、取材する人の情報、アウトプットのイメージなどを明確にし、きちんとライターにオリエンする。そして、ライターさんはオリエンに沿って執筆する。そのプロセスさえ固められれば、良いコンテンツはつくれる。それと同時に、コンテンツ制作におけるプロセスを可視化すれば、企業が自らコンテンツをつくれるようになり、事業がスケールしていくのではないか、という感覚がありました」(菅原)