フォーブス ジャパン編集部 エディター


良いライターと企業をつなげた結果、コンテンツ数が増加。大堀は「さまざまなコンテンツを生み出してきたことで、コンテンツの最適なフォーマットがわかった」と言う。実際、PR Tableでは、「創業秘話」など複数の切り口があり、それぞれの切り口に応じて、適切な構成案、質問案がレコメンドされる機能の開発を進めている(現在、この機能は特許出願中)。

「プレスリリースは速報情報としては機能しますが、思想や気持ちなどの“エモさ”は伝わりにくい。僕たちが大事にしているのは、きちんと企業を表現すること。この3年、フォーマットをつくったことで、それぞれの企業が『わが社』を表現できるようになり、企業の思想や気持ちに共感する人たちと関係構築できるようになったと思います」(大堀航)

コンテンツのフォーマット化が実現したことで、企業側のコンテンツ制作の負荷が軽減。自らコンテンツを制作する企業は4割(2017年9月時点)から7割(2018年11月時点)に増加し、利用企業数もサービス開始から3年で1000社を突破している。今回のラウンドで出資したUB Venturesも「コンテンツ制作のフォーマットをつくった点」を強く評価し、投資に至ったという。

企業の体質を変える「処方箋」でありたい

発信から表現へ──企業の中に眠っている情報をストーリー化してコンテンツにする土台ができあがり、次にPR Tableが狙うのは中長期的な視点による企業ブランディングのサポートだ。共同創業者で代表取締役の大堀海(弟)は「社内エンゲージメントの低下、リクルーティングの行き詰まり。こうした経営課題を解決するHRテック関連のサービスはさまざま登場しているが、中長期的な視点でコーポレート・ブランディングに取り組めている会社は少ない。僕たちがサポートしていければ」と語る。

「企業の現状はどうなっているのか。課題を『診断』するようなツールはありますが、『処方箋』となるようなものはない。僕たちは自社のサービスを『漢方』と言っているのですが、継続的に取り組むことでジワジワ効果が出てくる。PR活動において大切なのは、中長期的な視点を持つこと。ちょっと実践しただけでは企業の本質は変わらない」(大堀航)

そのために、PR Tableは今後インターナルコミュニケーションからリクルーティングまで、一気通貫して効果測定できるエンタープライズ向けの機能開発に取り組んでいく。

「昨日まで友人だった人が同僚になったり、昨日までの同僚が顧客になったり、企業と『個』の関係性はどんどんフラットになっている。そうした時代において大切なのは、すべてのステークホルダーと良好な関係を構築していくことです」(大堀航)

社内に眠るブランド資産を可視化し、効果測定しながら、情報を発信していく。それにより、既存社員には会社の戦略・文化が浸透しパフォーマンス向上につながり、採用であればカルチャーマッチする人材の採用が可能になるという。

「オンラインに情報を発信する時点で360度ステークホルダーに囲まれている。もはや社員と採用候補者を分けて考えるのはナンセンス。社内も社外も一緒なんです。働く人と企業が良好な関係を構築していくことが、PRのあるべき姿かなと思います」(菅原)

そうした活動を、彼らは「Personal Relations(パーソナル・リレーションズ)」と呼ぶ。企業が個人と関係を構築していくことが、最終的には「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」につながり、企業価値を高めていく。

「アドビがクリエイターに良いツールを提供しているように、僕たちは企業に良いツールを提供している。僕たちもアドビのような会社になれる可能性があると思います」(大堀航)


(写真右)グリーベンチャーズ代表取締役 堤 達生

「企業に表現力を。個人に選択力を」──その思想のもと、PR Tableは今後も“コンテンツ”を通して、あらゆるステークホルダーとの関係構築のサポートを行っていく。

写真=小田駿一

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