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2018.11.24

大手通信企業の逆襲、「SMS」のビジネス需要が拡大傾向に

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SMSはビジネス志向を高めていく

CommifyのLoveは、SMSは消費者からの信頼を獲得しており、通信企業が果たす役割は今後も大きくなっていくと述べる。「SMSというチャネルは今後、ビジネス志向を高めていく。一方で、家族や友人との会話はアプリ経由で行われる」とLoveは指摘する。

2014年にフェイスブックがワッツアップを190億ドルで買収して以来、メッセージをいかにマネタイズするかが課題となった。ザッカーバーグらは、世界的に利用されているワッツアップの収益化を企んだが、広告嫌いで知られるワッツアップ創業者らはこれを拒否した。

ワッツアップの共同創業者のブライアン・アクトンは、今年のフォーブスのインタビューで、フェイスブックの経営陣との対立ぶりを赤裸々に告白した。アクトンは、企業が送信するメッセージにわずかな課金を行うアイデアをザッカーバーグらに提示したが、ザッカーバーグらは規模の拡大が難しいとの理由で、これを拒絶したという。アクトンは2017年末に会社を離れていた。

フェイスブックはその後も、ワッツアップの収益化のトライアルを重ねてきたが、現状では目立った成果をあげられていない。今年8月には、企業らが顧客に暗号化されたメッセージを送信できるツール「WhatsApp Business API」の提供を開始したが、フェイスブックが利用を呼びかけた企業数は、わずか数百社という規模だった。

ワッツアップが今後も法人顧客の獲得に苦戦するであろうことは、目に見えている。この事実をはっきりと物語る出来事が、フォーブスが今年、アクトンに対して行ったインタビューの現場で起きていた。

アクトンは今後、企業が顧客に送信するメッセージがいかに重要なものになるかを説明しようとし、彼が地元のホンダの自動車ディーラーから受信したメッセージを筆者に見せた。しかし、そのメッセージはワッツアップではなく、SMSで受け取ったものだった。

編集=上田裕資

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