重要な収入源
JPモルガン・チェースがまとめたデータからは、ギグ・エコノミーからの収入が不定期である一方で、ギグワーカーが積極的に働いた数カ月の間の収入は総収入の重要な部分を占めていたことが分かった。
労働者がギグワークによって得た収入が同期間の収入総額に占める割合は、運輸部門では半分以上に上った。一方、他の3部門ではこれより下がるものの、42~54%を占めていた。リース部門以外の月収中央値は1000ドル(約11万円)未満であり、経費を考慮すれば利益はほんの少額であることを考えると、これは憂慮すべきことだ。
収入の減少
ギグ・エコノミー従事者が増える中、人々の収入が下がっていることを示す不穏な証拠がある。JPモルガン・チェースのデータによると、運輸部門の平均収入は2013年から17年の4年間で53%下がった。
しかし、リース部門で働く人の収入は、同時期に69%上昇し、17年の平均月収は約1700ドル(約19万円)だった。一方、非運輸部門の平均月収は同時期一貫して725~750ドル(約8万2000~8万5000円)にとどまり、販売部門の年末商戦を除く時期の平均月収も2014年以降は600~650ドル(約6万8000~7万3000円)で横ばいとなった。
ギグ・エコノミーに従事する人々
以前の調査では、ギグ・エコノミーの労働者は年配か若者がほとんどだということが分かっていたが、JPモルガン・チェースの分析でも同様の結果だった。
運輸部門に従事する人の大半は他の仕事に就いていなかったが、他部門では必ずしもそうではなかった。これはおそらく、運輸部門の参入障壁が低く、無職の人が安定した仕事を探す合間に比較的楽に金を稼げる機会となっているためだろう。
しかし、収入が減少しているギグ・エコノミーは満足できる収入源と言えるには程遠く、失業率減少への貢献はあまり望めない。
報告書は、結論として次の5点を挙げた。
1. ギグ・エコノミーは、経済全体の中での主要雇用部門に匹敵するものであり、同様の扱いを受けるべきである。
2. フリーランス運転手の仕事は引き続きギグ・エコノミーの成長源となっているが、フルタイムで働く従事者はまれ。
3. 販売・リース部門では、高収入を得られている人は一握りのみ。
4. ギグ・エコノミー従事者は一般的に、仕事を辞めてフリーランスになっているわけではなく、定期収入を補うためにギグワークを行なっている。
5. ギグ・エコノミーの4部門には重要な違いがあり、それぞれに合った対応施策が求められる。