ビジネス

2018.11.23 08:00

起業家は「客観的・好意的・機会的」に物事をとらえた方がいい|塩田元規




リーダーだって、幸せになっていい


──塩田さんも、自責するあまりメンタル的にまいってしまったご経験がありますでしょうか?

若い頃は特に、「リーダーたるものは、こうでなければ。尊敬されなければ。」という感情が先走りやすいものです。

私の場合、起業3年目くらいのときに採用に失敗して組織が崩壊してしまい、すべてを自分で抱え込んでいた時期がありました。その頃は、体をつねっても痛くない、夜中は泣きながら吐いてしまうといった、ひどいありさまでした。

限界に達した時、「俺はもうこれ以上、背負えない」と、アカツキの社外応援団をしてくれている先輩の前で本音を漏らし、泣いたことがありました。その時に言われたのが、「げんちゃん(塩田氏)が作りたい会社って、そもそも何なの?みんなが幸せな会社をつくりたいはずなのに、なんで君自身が幸せじゃないの?」という言葉でした。

この言葉で、「俺は自分が死んで、周りを幸せにしようとしていた」と気付かされたんです。そうではなくて、「自分も幸せになっていいんだ」と思うことができました。

──そこから、思考の順序が変わり始めたのですね。

そうですね。「自分も幸せになっていい」と決めたとき、はじめてメンバーに「きつい」という心境をシェアしました。メンバーは「一緒に背負うよ。当たり前でしょ」と言ってくれて。この言葉でまた泣きましたね。(笑)

内省するときに自分を追い込むのは「なんとかしなければならない」という固定観念です。「しなければならない」と自分が言っているときは、一歩引いて「本当か?」と問うた方がいいと思います。アカツキでは、習慣的に「なんとかしなければならない。だけど、」と考えるようにしています。

たとえば、「上場している会社は売上・利益を上げ続けなければならない。だけど、アカツキは心や感性も大事にしよう。」「だけど、あまり利益だけにとらわれすぎず積極的に投資しよう」といった具合です。

画一的な固定観念を外して思考すること。これが起業家が幸せになるうえで、重要なことだと思っています。

連載 : 起業家たちの「頭の中」

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文=堀田慶介 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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