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2018.11.23

起業家は「客観的・好意的・機会的」に物事をとらえた方がいい|塩田元規

塩田元規

2010年の創業以来、モバイル/スマートフォン向けゲームでヒット作を数多く手がけ、成長を遂げてきたアカツキ。2016年3月に東証マザーズ上場、2017年9月には東証一部への市場変更も果たした。同社を牽引する代表取締役CEO 塩田元規氏に、起業家の素養や組織づくりのポイントなどについてドリームインキュベータの堀田が聞いた。(全6話)

「諦めない道」を選び続ける

──起業家の素養の2つ目である「グリット力・やりきる力」はどのように身につけられたのでしょうか?

まず必要なのは、「自分が頑張り続けたら、なんとかなる」と信じられる、自己確信的な力。この力は、小さなことでも良いので、ピンチの局面でも「やりきる」成功体験を積み重ねることで身につきます。

次に必要なのは、「諦めるかどうか」というギリギリの分岐路で、「諦めない道」を選ぶ回数を増やすことです。

本来、起業というのは誰かに言われてやっているわけではありません。自分が本当にやりたいことをやっているのだとしたら、たとえ苦しい状況だとしても「諦めたいのか?」と自分に問うたら、「諦めない道」を選ぶはずです。

私も過去にそういった状況が何度もありました。でも、その分岐路に立たされる度に、最後の最後で「諦めない道」を選んできました。そして、選択をする度に、自分の「覚悟レベル」が上がってきたと思います。

起業家というものは、えてして起業当初は「覚悟レベル」が低いもの。私も1年目は低かったです。しかし、「諦めない道」を選ぶ回数が増えるごとに「覚悟レベル」が上がり、気づいたら昔は困難と思っていたことをなんでもなく思えるほど、見える世界が違ってきました。

そうやって「覚悟レベル」を上げることが、少々の困難ではくじけない「グリット力・やりきる力」を身につけるということではないでしょうか。小さなことからでも良いので「諦めない道」を選び、成功体験を積み重ねていくことが、起業家の「グリット力・やりきる力」につながっていくのだと思います。



「客観的・好意的・機会的」に物事をとらえる

──起業家の素養の3つ目である「自己内省力」はどのように身につけられたのでしょうか?

実は、起業家はもとから自責する人、つまり内省する人が多い傾向にあります。なぜなら自分の会社や事業に、心底オーナーシップを持っているからです。ですが、ここで気をつけなければいけないのが、内省するときに、うまくいかないことをすべて課題と捉えて、自分を責めてしまうこと。その思考を続けるうちに、メンタル面で参ってしまう起業家が多いからです。

重要なのは、物事を内省する際の「順序」です。私がよく言うのは、「ピンチが起きたらまずスマイル」。すべての物事を、まずはプラスに捉えてみるのです。

具体的にいうと、「客観的・好意的・機会的」の3つで、まず全ての物事を捉えます。この思考法は訓練次第で出来るようになります。

何か課題があったときに、「ここから何が学べるんだろう(客観的)」、「これを解決すれば、どんな良いことが起きるだろう(好意的)」、「これを機会に変えられるんじゃないか(機会的)」と考える癖をつける。こうして、すべての物事をプラスに捉えた後で、自己内省をします。この順序を間違えると、メンタル的に参ってしまいます。

起業家というのは、ガチガチになって成功を掴み取ろうとする人が多いものですが、ピンチに出くわしたときは、一歩引いて、「これはチャンスだ」とプラスに捉えること。その後に「自己内省」を始めること。そういった思考の順序が「自己内省力」を高め続けるうえでは不可欠だと思います。
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文=堀田慶介 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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