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Deputy editor for Industry; eyes on the skies

イーロン・マスク(Photo by Mario Tama/Getty Images)

米航空宇宙局(NASA)は11月20日、国際宇宙ステーション(ISS)への有人飛行に向けて準備を進める「スペースX」と「ボーイング」の職場の安全を守るため、従業員の薬物検査を行うと発表した。

この動きは、スペースXのCEOを務めるイーロン・マスクが、9月のライブストリーミング番組内で大麻を吸い、ウイスキーで酩酊していたのを受けてのことだという。

NASAは今回の調査を2社に対する「企業文化の評価研究」と位置づけており、ISSに宇宙飛行士を送り込む両社の職場が、NASAが要求する安全基準を満たしているかを確認する。また、2社の職場が薬物汚染と無縁であることを確認したい意向があるという。

ワシントン・ポストの取材に、NASAの有人飛行部門のWilliam Gerstenmaierは、今回の調査が「かなり入念なものになる」と話しており、2社の従業員らに対し、数百件もの聞き取り調査が実施されると述べた。

宇宙アナリストのWilliam Ostroveは「今回の調査により、2社が開発中の宇宙船(スペースXのクルー・ドラゴンとボーイングのスターライナー)の開発スケジュールに、さらなる遅延が生じる可能性がある」と述べた。開発の遅れは数カ月にも及ぶかもしれない。

Ostroveはフォーブスの取材に「集中的な聞き取り調査や、履歴チェックが行われるとしたら、宇宙船の設計やテスト業務に関わる従業員の勤務時間が奪われる」と述べた。

ボーイングの広報担当は、現時点でNASAから正式な通達を受け取っていないというが、職場の安全性には自信を持っていると述べた。

一方、スペースXの広報担当も「当社は日頃から安全な労働環境の整備を進めており、従業員らは薬物と無縁だ」と述べた。スペースXが本拠を置くカリフォルニア州では、大麻の嗜好目的での使用が合法化されている。しかし、連邦レベルでは、大麻は依然として違法薬物に分類されている。

NASAは当初、2018年内に宇宙飛行士らをISSに送り込む予定だったが、ボーイングとスペースXの両社が技術的課題を克服できず延期になった。

今年10月に開催されたNASAの安全アドバイザリー会議でも、打ち上げスケジュールの妥当性が議題になった。「現時点で、2社が提示する有人飛行の実施に向けたスケジュールには、多大なリスクが存在し、克服すべき課題の多さから考えて実行は難しいと考えられる。今後は一連の検証作業が必要になる」と議長のPatricia Sandersは述べていた。

NASAはボーイングとスペースXに対し、1飛行あたりの死亡事故発生確立を270分の1以下に抑えることを要求している。これは、かつてのスペースシャトル・プログラムと比較して、かなり厳しい基準だ。スペースシャトルの場合は135回の打ち上げで、2機を失い、14名が死亡していた。

編集=上田裕資

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