秋冬の読書、あなたは何を読む?クリエイターたちのバイブル5選

これまでForbes JAPANに登場したクリエイターやアーティストに、仕事からプライベートなことまでを聞くアンケートを実施。毎週木曜日、その回答を順次紹介していく。

第1回:尊敬している人物は?
第2回:愛用している仕事道具は?
第3回:ひらめきが生まれる瞬間は?
第4回:「毎日の習慣」と「苦手なこと」は?

今回は「何度でも読み返したい、あなたのバイブルは?」というテーマ。

徐々に秋から冬へ近づき夜が冷え込むようになってきたが、外へ出るのが億劫になる今こそ、読書に勤しむのも秋冬のよい過ごし方ではないだろうか。

起業家に聞くバイブルはこちらの記事で紹介しているが、本記事ではメディア・アーティスト、シェフなどがおすすめする「私のバイブル」をご紹介。


YOKAI NO SHIMA|シャルル・フレジェ


シャルル・フレジェ著(青幻舎, 2016)

「弔い」をテーマに作品を制作し、海外のメディア芸術祭でも多くの賞を受賞している市原えつこ氏が挙げたのは『YOKAI NO SHIMA』。この本は、フランスの写真家 シャルル・フレジェが、例えばなまはげや天狗など、日本の祝祭に現れる妖怪や神々に扮した人々をポートレートで収めた写真集。

タイトルから、欧米人にとって日本は「妖怪の住む島」と形容されること自体とても興味深い。フレジェはこれまで、世界各地の民族衣装や儀式のための衣装を撮影し続け、そのときに根付く文化や生活をする人々の営みを写真に収めてきた。2016年には銀座メゾンエルメスフォーラムにて、この本に収められた写真の展示会も行われている。

世界中のローカルを旅してきたフランス人写真家の目に、日本の祝祭、そして登場する“人間ではない存在”はどう映っているのか。それを強烈なビジュアルを通して感じることができる一冊である。


エロスティック・ジャポン|アニエス・ジアール


アニエスジアール著 にむらじゅんこ訳(河出書房新社, 2010)

もう一冊、市原氏が挙げたのは『エロスティック・ジャポン』。フランス人女性作家が、ロリコン、セクハラ、コスプレ、メイドカフェなど様々な切り口から日本の性文化について語られている。日本のエロティックカルチャーは、外からはどう見られているのかを、海外の価値観との違いを感じながら客観視できる内容である。

市原氏自身、「死」や「弔い」といった現代ではなんとなくタブー視されているテーマを扱った作品を作っているが、そういう意味では「性文化」も同じなのかも知れない。「ヨーロッパ人の目線から日本の文化・風習を切り取った本で、新鮮な発見があります」と市原氏。


世界をつくった6つの革命の物語 新・人類史|スティーブン・ジョンソン


スティーブン・ジョンソン著 大田直子訳(朝日新聞出版, 2016)

デザインファームTakramの田川欣哉氏が選んだのは『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類史』。ガラス、冷却、録音、浄水、時計、光という6つの大発明の背景や、そこに関わった発明家のストーリーに触れながら、人類がいかに進化してきたかを読み解く名著である。

「人工物の歴史を読むことで、目の前の仕事の意味を相対化して俯瞰できるようになる」と語る田川氏は、この他に『銃・病原菌・鉄(草思社, 2012)』と『サピエンス全史(河出書房新, 2016)』をレコメンド。どれも近年出たベストセラー。すでに読んだ人も多いかもしれないが、まだの人はぜひこれを機に一読いただきたい3冊だ。


ルネッサンス|カルロス・ゴーン


カルロス・ゴーン著 中川治子訳(ダイヤモンド社, 2001)

シェフ 松嶋啓介氏のバイブルは、カルロス・ゴーンの「ルネッサンス」。

今いろいろな意味で時の人となっているカルロス・ゴーンだが、当時多額の赤字で瀕死状態だった日産を立て直し過去最高黒字に導くなど、彼がこれまで残した実績は疑いようがない。

そんなゴーンがこれまで歩んできた、ミシュラン、ルノー、日産というキャリアの中で下してきた決断や苦悩などが書かれた一冊。タイミングが良いという意味で、いま読み返すと面白いかも知れない。


レストラン・パティシエールの働き方|中村樹里子


中村樹里子著(誠文堂新光社, 2016)

30 UNDER 30のアート部門に選出された、レストラン「kabi」のシェフ 安田翔平氏は「デザートを考える際に参考にします」と、この一冊をレコメンド。著者の中村樹里子氏は29歳で渡仏、数々のレストランで主にデザートを担当してきた人物であり、安田氏の妻でもある。

自身がフランスへ渡り、経験した様々なストーリーとそこで感じたことをもとに「好き」を仕事にしたいひとへのメッセージが、美味しそうなデザートの写真とともに収められている。

文=フォーブス ジャパン編集部

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