大企業に次々と新規事業の部門ができていくなど、社内でイノベーションをミッションに背負っている人は少なくないでしょう。しかし、今話題となっている「アート思考」をはじめ、巷に溢れる「〇〇思考」を取り入れたらすぐにイノベーションにつながるかといえば、決してそうではありません。
もちろん様々な手法は参考にはなりますが、「アート思考の入門書を読んだから、プログラム通りに絵を描かなければ」と機械的になるのではなく、まずは思考することの本質を理解して、例えばアート思考であれば、自分の生活の中に、あるいはビジネスの中に、どう取り込んでいくかを考えてから動くことが重要です。
アート思考は、アーティストたちが頭の中にあるアイデアから作品を生み出す、ゼロからイチを生む思考プロセスを辿り、創造性についてのヒントを得ることです。アーティストたちは、個人の生き方や社会に対する問題意識を自分たちが創る作品に込めます。そして、この問題意識とは自分や社会と向き合い、思考を掘り下げることで生まれてくるものです。
それをビジネスのイノベーションに活かすには、まず「感じる」ところから初めるべきでしょう。
自分が「好き」と思うもの、「つまらない」と感じることは何か。どうしてそう思うのか。自分の持つ感情を深堀りしていき、それが今の社会とどれだけ距離があるのか、そこから自分はどう生きていきたいのか、社会に対して何を問いたいのか、と問い続けながら自分のスタンスを見つけるのです。
そのときに、この増村さんの本に出てくる多角的な視点を持つことや、自分の持っているバイアスに気づくことはすごく役に立つでしょう。自分の中にある枠をはずたり、拡大したりすることで、今まで見えてこなかったものが見えてくるようになるかもしれません。まず、「なぜアート思考に興味があるのか?」から考えてみてはいかがでしょう?
連載:「グローバル思考」の伸ばし方
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