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2018.11.22 08:00

今後の日本を支える、スタートアップのあり方とは? 2023年までに20社のユニコーン創出へ


その理由は、スタートアップと大企業によるM&A後の「PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)」がうまくいっていないことが挙げられるだろう。スタートアップと大企業の連携において、成功した事例が少ない中、KDDIグループのアセットを活用し、成長を遂げている企業がある。Supershipホールディングスだ。
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「大企業の力を甘く見てはいけない」

同社は「大企業とスタートアップの共創」がスタートアップの新たな成長戦略のひとつとして考え、お互いが持つアセットを掛け合わせることで、新たな価値創出に取り組んでいる。

実際、SupershipホールディングスはKDDIグループのアセットを活用することで、3年間で約200億円の資金を調達。そのほか、フェイスブックやアマゾンといった企業とも提携し、売り上げは274億円を超えている。
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畑違いの大企業とスタートアップが連携を図るには、何がポイントなのか。Supershipホールディングス代表取締役社長CEOの森岡康一は、「大企業の考え、戦略を理解することが何よりも大事」だと説明する

「多くのスタートアップは大企業側から何かしてもらえると思ってしまいがちですが、それは大きな勘違い。大企業が持つアセットを活用するためには、大企業がどのような戦略を描いていて、どこにお金が流れているのか。そして、今後どんな未来を創ろうとしているのか。彼らの考えを徹底的に理解することで、スタートアップは大企業の力をうまく引き出せるようになると思います」(森岡)

Supershipホールディングスは、中国ECシェアNo.2の「JD.com」(京東商城)が展開する京東クラウドと日系企業として初めて戦略的パートナーに選出された。森岡曰く、この戦略的パートナーシップの締結もKDDIグループの傘下だったからこそ、実現したという。

「中国市場で成功を収めている日本の企業はそう多くない。そうした中で、京東クラウドとの提携が実現したのは、KDDIの中国現地法人である北京凱迪迪愛通信技術有限公司(以下、KDDI中国)のおかげだと思っています。KDDI中国は中国の商習慣を理解していましたし、JD.comとのリレーションも築けていた。もちろん、我々が提供できる価値を何かを考えた上で提案を行いましたが、KDDIが持つ信用力がなければ、この戦略的パートナーシップは実現できていなかったと思います」(森岡)

京東クラウドとの提携を筆頭に、フェイスブックやアマゾンとの提携──こうした大手企業とのアライアンスはスタートアップだけでは実現できない。いかに大企業と連携し、彼らのアセットを活用できるか、が大事になってくる。

大手企業とのアライアンスを次々と実現しているSupershipホールディングスは、どのようにしてKDDIグループとコミュニケーションを図っているのか。森岡はこう語る。

「彼らはスタートアップが経験できないようなスケール感の大きい仕事をしている。『大企業は◯◯だから……』とスタートアップ目線でのバイアスをかけず、大企業の人の話をたくさん聞く。彼らと話すことで事業の成長につながる金言も得られる。スタートアップが大企業にどれだけ歩み寄れるかどうかです」(森岡)

信頼ある人脈と培った経験による的確なアドバイス、そして資金面でのサポート。こうした大企業のサポートによって、スタートアップは大胆に攻めていくことができる。

その一方で、スタートアップも大企業側にどんな価値が提供できるのかは常に考えておかなければならない。例えば、Supershipホールディングスは自社のテクノロジーを提供することでKDDIのデジタル化を加速させているほか、スタートアップのネットワークを提供したり、人事制度や福利厚生におけるノウハウなどを情報交換しているという。

「大企業のアセットを活用して何がしたいかを考えるだけでなく、自分たちは大企業の戦略を実現するために、どんな貢献ができるのか。これを考えることが大切です。お互いの期待値をきちんと調整することができれば、大企業とスタートアップの連携はうまくいくと思っています」(森岡)

今後も、Supershipホールディングスは日本発のデータテクノロジー企業として、さまざまなパートナーの方々と共創しながら、新たな価値の創出に取り組んでいく予定だという。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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