2. 資料を理解する
大半の人がパブリックスピーキングを恐れるのは、資料を徹底的に理解せず、ぶっつけ本番で臨んでしまうからだ。このような場合、予想外のことが起きると特に、大きな問題に発展する。
前のスピーカーが延長したせいで、あなたのスピーチの時間が60分から45分に減ってしまったとしよう。資料をきちんと理解できていなければ、次の講演者の時間に食い込んでしまう。自分に与えられた講演時間を過ぎてしまうことは大きなエチケット違反だ。資料をきちんと理解していれば、主催者からスピーチを45分以内に収めることを頼まれた場合でも、どこで調整すればよいかが分かる。
準備では、プレゼンテーションのさまざまな部分をリハーサルしておかなければならない。どこを延長したりカットしたりすれば、聴衆に混乱があったことに気づかれず、与えらえた時間内でスピーチを終えられるか理解しておこう。
3. 聴衆を理解する
言葉や話し方は、メッセージを受け取る人によって変わる。そのため、聴衆を理解することが必要だ。
金融の専門家ではない聴衆に対し、複雑な金融専門用語は使わないはずだ。また、技術性が高いエンジニアが集まる場では、口語的な言葉の使用は控えるかもしれない。このように、常に聞き手のニーズを考えなければならない。
聞き手について事前調査をすれば、自信が持て、力と落ち着きをもって話すことができる。私はプロのスピーカーとして「自分はこの部屋にいる人に、どれほどの変化を起こせるだろう」とよく自問する。自分が着用しているスーツや、自分が壇上でどのように見えるかを考えることはない。
4. 会場を知る
講演会場について、あらゆる点を理解する必要がある。特に、講演に関する一般的・技術的要件は明確に理解しよう。
私は先日、音声とともにスタートする基調講演を行った。技術確認でテストしたときは全て順調だったが、少し退出している間に設定が変わってしまい、私が壇上に上がっても音声が鳴らなかった。これにより聴衆が困惑してしまう可能性もあったが、私はそのようなシナリオを事前にリハーサルしていた。私はオープニングを調整し、聴衆にとってはなおインパクトのある講演ができた。
資料を熟知し、全ての視聴覚資料が失敗したとしても確実にスピーチを続けられるようにすることが重要だ。問題が起きてもそれを問題視しないことで、イベントの主催者から感謝される。
人前で話すことへの恐怖心は、その克服法をきちんと理解していれば成長の障壁にはならない。準備をしてあらゆる状況に備えておくだけで、自信が湧いてくることに驚くはずだ。準備をすることで自信がつく。自信がつけば聴衆の前に出て、最高の自分を見せることができる。