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Selan代表取締役 樋口亜希

Forbes JAPANでは、次世代を担う30歳未満のイノベーターにインタビューを行う「NEXT UNDER 30」をスタート。2018年8月に、Forbes JAPANが開催した「30 UNDER 30」特集。その際に取り上げきれなかった若手イノベーターたちを継続的に取り上げていく。

「人生は、もっといろんな選択肢を持つことができる」。Selan代表取締役を務める樋口亜希は、その揺るぎない信念をもとに、幼少期に特化した教育事業を展開する。

中国人と日本人のハーフとして生まれ、「多様性」について幼い頃から考えざるを得なかったという樋口。北京大学を卒業し、リクルートに就職した彼女は、なぜ起業を選択したのか?樋口の半生に迫った。

「幼少期」に特化した教育事業を展開

──まず、現在樋口さんがされていることを教えてください。

Selanという会社を経営していて、そこで主にふたつの事業を展開しています。

ひとつは「お迎えシスター」。これは、「子ども達の人生に、多くのきっかけを作ること」をビジョンとして立ち上げた、子どもの自宅でバイリンガル教育を行うサービスです。



もうひとつは、「主体性」や「多角的視点」など、学力やスコアで測ることができない非認知能力、いわゆる「生きる力」を伸ばすためのスクール事業。こちらは中目黒と、お台場付近のテレコムセンターで展開しています。

人権問題や国際問題、環境問題など、世の中では「大人が学ぶもの」とされている社会問題を取り上げ、英語で授業を行っています。週末のインターナショナルスクールのようなイメージですね。

「幼少期の経験」が多様な価値観を受け入れるきっかけに繋がる

──樋口さんがこれらの事業を始められたきっかけには、ご自身の幼少期の原体験が大きく影響していると伺いました。幼少期、どのようなことがあったのでしょうか?

私の両親は共働きでとても忙しく、私が小さい頃、私と妹のお迎えに間に合わせるのが難しく、苦戦していました。そこで、近くの大学の学生寮に「うちの娘2人を迎えにいってくれる人を募集中!」という紙を貼り出して、集まったいろんな留学生のお姉さんにお迎えをお願いしていたんです。

トルコ人、カナダ人、韓国人など、本当にさまざまな国の方が、月曜日から金曜日まで毎日代わる代わる迎えにきてくれて。私が6歳の時から18歳になるまで、妹が12歳になるまで、放課後毎日お姉さんたちと過ごしていました。でも、いわゆるシッターさんとは違いみんな18歳〜22歳くらいの大学生だったので、どちらかというと「自分のお姉ちゃん」という感じに近かったですね。なので、もちろん優しい時もあれば、喧嘩をすることもありました(笑)。

──貴重な体験ですね。

当時はあまり意識していませんでしたが、今思えばすごく貴重な体験ですよね。それまでの私は、とてもシャイな性格でした。自分が知らない「異物」に対してものすごく敏感な、いわゆる人見知りな子どもだったんです。なのでもちろん、外国人も最初はすごく怖かった。

でも、毎日お迎えに外国人のお姉さんが来るとなったら、そんなこと言ってられないじゃないですか。毎日、異文化とのぶつかり合いです。たとえばお姉さんたちは食事を作ってくれるんですが、わけのわからない料理がたくさん出てくるんです。家の裏で出た蛇を殺して煮込んだ鍋とか、ヨーグルトとトマトが煮込まれたものとか……。

──す、すごい……。

食べ物だけじゃなくて、会話の話題もさまざま。靖国問題やコソボ紛争など、世界中の社会問題についてもたくさんお話をしました。そこからすごく自分の世界観が広がったんです。性格もだんだん変わり、オープンマインドになっていきました。

大きくなって振り返ると、この幼少期の多様なお姉さんたちとの出会いが、自分のアイデンティティーの大きな部分を形作っていることに気付いたんです。「世界が広がる体験を、多くの子どもたちにしてもらいたい」そう思ったのが、事業を立ち上げるに至ったきっかけです。

文=明石悠佳 写真=小田駿一

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