後れを取る米業界
世界の合法的な大麻産業は、2025年までに1464億ドル(約16兆5000億円)規模に成長すると予想されている。だが、米連邦政府が大麻を麻薬のヘロインやLSD、メタンフェタミンと同じカテゴリーに分類し続ける限り、米国の企業や投資家たちは、その市場からほぼ締め出されることになる。
この分類(そして、それによってもたらされる影響)は米企業から、世界的な大麻市場を形成する最初の波に乗る機会を奪うということだ。大麻を合法化する国が増えるなか、米国はそうした世界の動きにますます後れを取っている。
業界団体のNCIA(全米大麻産業協会)によると、カナダの大麻関連企業のうち、9社は時価総額が10億ドルを超えている。さらに、このうち3社の時価総額は130億ドル以上だ。大麻市場がカナダの9倍の規模になる米国で、カナダのこれら企業に匹敵する規模に成長したものは一つもない。
米国企業が脇役の立場に追いやられているうちに、外国企業が世界的な独占販売権を取得したり、米国を完全に迂回する形でサプライチェーンを構築したり、子会社を設立したりしていくことになる。
例えばタイは、世界有数の大麻の輸出国だった1980年代の地位を取り戻すため、インフラの再構築を進めている。だが、投資資本の獲得や製造、流通、研究開発などにおいて、米国のノウハウは求めていない。
米連邦政府は外国市場へのアクセスや国内での投資を認めないことで、自国の大麻関連企業を不自然に、小規模かつ小域的なものにとどまらせている。