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スペシャルレポート担当。

Valentyn Volkov / shutterstock.com

台湾では2002年まで、酒類に関しては政府の専売制度がとられ、国営企業が市場を独占していた。その規制が撤廃されて以降、市場に乗り込んだのが飲料メーカーの「キングカー(金車)」だ。

同社のシングルモルトウイスキー、Kavalan(カヴァラン)は2008年の発売以来シェアを拡大し、国際的な賞をいくつも受賞した。そしてキングカーは今、ビール市場に乗り込んだ。

今年6月に同社は、12種類のドイツ風ビールを発売した。「Buckskin」というブランド名でラガービールと白ビールの2種類を缶で発売中のほか、台北のレストランでは10種類を提供中だ。

1979年に創業のキングカーを率いるのはAlbert Lee Yu-tingと、彼の父で台湾の富豪リストで41位に入っているLee Tien-tsaiらだ。Albertは台湾にクラフトビールブームが到来することに、いち早く気づいた。主要ターゲットは25歳から45歳の男性だが、女性たちにも人気となっている。

Buckskinのファンだという30歳の女性は、「値段は少し高いけれど、味は素晴らしい」と話す。同僚とともにKing Carの台北のレストランを訪れていた彼女は、口コミでこのブランドを知ったという。

キングカーのAlbertは2016年にビール部門の立ち上げを思い立ち、ドイツのバイエルンで600年に渡りブルワリーを運営する一家の、Georg Rittmayerと手を組んだ。「ビールの故郷はドイツだ。だからドイツのブルワリーと提携するのが一番だと考えた」と、現在53歳のAlbertは話す。

Buckskinの製造キャパシティは現在、年間1000万リットル程度で、これは売上規模にして年間1600万ドルに相当する。Albert は2021年までに製造量を10倍に伸ばす計画も練っている。彼が野心的な目標を掲げる背景には、ここ10年のマーケティングの経験と、世界規模の販売チャネルの確立がある。

キングカーは缶コーヒーの「MR. BROWN(伯朗咖啡)」で知られ、カフェチェーンも展開。年間売上は5億ドル(約560億円)に達している。

Buckskinのビールはハイネケンやキリン、地元の台湾ビールを競合と見据えている。台湾国内ではビール市場は伸び悩んでおり、Buckskinが今後注力するのはグアムや香港、中国などの海外市場だ。

「ハイネケンは世界的に有名なブランドだが、我々もそのポジションを狙いたい」とAlbertは話した。

編集=上田裕資

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