都市部の交通改革に「アメとムチ」が必要な理由

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持続性に欠け、大気汚染が進み、交通渋滞の激しい都市部を、自動車規制によってより住みやすい街へと変えることは、緊急の課題となっている。パリのアンヌ・イダルゴ市長は、自転車推進の引き換えに政治的な犠牲を払っており、現行プログラムの問題解決に向けた緊急措置を要求するとともに、新たな計画を開始した。

一方、スペインの首都マドリードでは、マヌエラ・カルメーナ市長らが、市中心部への自家用車の乗り入れ規制を強化しようとしているが、街の将来構想の基礎を成す重要な政策にもかかわらず、政界からの強い反対を受けている。スペインは、カルメーナ市長が就任以降進めてきた政策のおかげで、欧州委員会が各国に科す最大27億ユーロ(約3500億円)の罰金の対象から外されている。現在罰金の対象となっているのはドイツ、フランス、英国、イタリア、ルーマニア、ハンガリーだ。

他の都市の中には、テクノロジーの導入や、企業に対し自転車通勤者のためのシャワー設備を職場に設置するよう義務付けることなどによって、人々の習慣を変え、自動車の台数を減らすことに成功したところもある。人々に変革を促し、過去の習慣を変えさせるための戦略として、“アメとムチ”はとても効果的だ。

人類が直面している最大の課題を、少数の反対派がいるからというだけの理由であきらめてはいけない。存続可能な将来を望むのであれば、都市と交通システムの再設計はますます重要となってくる。“アメ”を追求しない人は、自らが“ムチ”に直面することになる。

編集=遠藤宗生

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