逮捕されたカリスマ、ゴーン会長の経営手腕と関係者が語る実態

カルロス・ゴーン(Photo by Vincent Isore/IP3/Getty Images)

日産自動車の最高経営責任者(CEO)を昨年退き、現在は同社と仏ルノー、三菱自動車3社の会長を兼務するカルロス・ゴーン(64)が11月19日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。日産の資金を私的に流用していた疑いも指摘されている。

複雑な企業構造のトップを務めてきたゴーンについて、米オートトレーダー・グループのディレクター、ミシェル・クレブスは、「日産の社内でもずっと以前から、ゴーンが得る報酬は批判と嫉妬の対象となってきた」と語る。

「日本人の幹部にも従業員にも、それほどの収入を得ている人はいない…日産の業績が好調でなければ、恐らくこの問題は見過ごされていただろう」

一方、現在も日産と取引があることから匿名を条件にコメントした同社の元従業員は、日産の日本人の管理職たちがゴーンを標的にし、当局に情報を提供したのではないかと推測している。彼らが「ゴーンの支配下から抜け出すことを切望していた」ためだという。

「日本人たちは決して、ゴーンをトップに迎えることを歓迎していたわけではない。だが、経営危機に陥っていた日産は受け入れるしかなかった。ただし、それも20年近く前の話だ。現在の日産は好調だ。上級幹部の多くが、さらには日本の政府職員の一部も、ゴーンをバックミラー越しに見たいと思っている」

米自動車研究センターの名誉会長であり、自動メーカーのCEOの多くに助言してきたデービッド・コールはゴーンについて、「彼は経営において、チームのコーチではなく臣下に対する王のような態度を取る」と述べている。

「彼はおよそ20年にわたって、非常に複雑で政治的な人間関係と事業を巧みに操ってきた」
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編集=木内涼子

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