逮捕されたカリスマ、ゴーン会長の経営手腕と関係者が語る実態

カルロス・ゴーン(Photo by Vincent Isore/IP3/Getty Images)


評価された経営手腕

ゴーンの経営手腕は高く評価されてきた。日産では過去の管理職たちにはできなかった人員削減を行い、工場を閉鎖し、会社を変えた。

同社には、無駄を省き、非効率性をなくすためには社内に政治的、または個人的な結びつきがない外部の人材が必要だと考える人たちがいた。そして、抜本的なリストラを困難にしている日本の社会的慣習に抵抗するには、外国人が適していると考えられた。

ルノーと日産という大手自動車会社2社の経営を混乱なく同時に行ってきたゴーンの経営手腕は、ビジネススクールでも研究されてきた。BMWによるローバー、ダイムラーによるクライスラー、そしてフォードによるジャガーとボルボの買収の失敗とは対照的だと評価されている。

日本政府も奨励した三菱自動車の買収によって成立した3社連合の販売台数は今年、1100万台を超える見通しだ。米ゼネラルモーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン(VW)VWグループ、そしてトヨタ以上の販売台数となる。

周囲からは「反感」

ゴーンは長年、複雑な形で報酬を得てきた。ルノーと日産、三菱自動車のそれぞれから給料が支払われている。ルノーから得る報酬については、仏政府も問題視してきた。

日産からの収入は、日本の自動車メーカーの幹部らの大半の報酬を大きく上回り、ゴーンは日産の関係者だけでなく、国内の自動車各社の幹部たちからも反感を持たれてきたという。日本政府に対してゴーン以上の強い影響力がある業界幹部でも、ゴーンほどの報酬は得ていなかった。

ゴーンの元妻、リタ・ゴーンは19日、自身のSNSアカウントに次のようなコメントを投稿した。

「全てのナルシシスト、偽善者たち。彼らは実際には持ち合わせない道徳観と価値観があるふりをしている。閉ざしたドアの向こう側で、彼らはうそをつき、侮辱し、批判し、見下し、暴言を吐いている…他人には従うべき数多くの規則を設ける一方で、自分たちは全く規則に従わない。そして、人に説き勧めることの一つも、自分では実行しない」

ゴーンと共に逮捕された日産の代表取締役グレッグ・ケリーの今後は、日仏両国の警察、そして議員らの手中にある。

編集=木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事