実際の仕事は定型と非定型業務が混ざっていることが多いが、定型業務を担当しているほうが「楽」なことも多い。どの程度時間をかければどの程度の成果があがるか予期しやすいため安心感が持て、かつ動いている感覚も持てるからだ。
そこでマネジャーがやりがちなのは、自分が担当者のときと同じ感覚で作業型の定型業務に時間を費やしてしまうことだが、それでは組織成果を高めるのは難しい。
組織成長に向けて必要な打ち手は、定型型の延長からはなかなか生まれてこない。非定型業務にはイノベーションや創造的なものが含まれている。自身の定型業務時間をできるだけ空けるように業務分担やリソース配分を工夫し、未来に向けた非定型の動きを意図的にとっていくことが必要になってくる。
採用難の時代でもあり、「人が足りない」という悲鳴は各社各部署から聞こえてくる。採用担当者としては、現場から要望を受ける前に経営方針に沿った採用施策に動き、要望に応じた採用活動を迅速にすることが大事である。しかしCHROとしての立場なら、迅速な採用体制を整えると同時に、経営視点で組織内のリソースを考えることが必要になるだろう。
その時に把握することが望ましいのが、各部署、各現場でのマネジメントの実態だ。現場のマネジメントは、上記に即すると両輪が回っていることだといえる。ひとつは非定型的な業務を定型的な業務へのシフトし、効率・安定的に成果を出せるようにしていくこと。もうひとつは自律的に非定型的な業務が出来る人材を育てていくことである。
さて、これを経営全体で見た際に、はたしてどの部署や業務が効率性を発揮し、どの部署や業務が創造性を発揮していくべきか見えているだろうか。CHROが経営戦略を具現化しているひとつの見方といえよう。
連載 : 人事2.0 ──HRが作る会社のデザイン
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