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ㅤ鎌倉市在住のフリーランスライター兼編集者


外来、入院、在宅とさまざまな現場を経験した武藤には、医療課題が見えてきた。1つ目は「医師の意識改革」だ。


武藤はいまも在宅患者を診療する。「患者に教えられることは多い」と話す。

「昔のように感染症が中心の医療であれば、抗生剤一撃で治せました。でも、現代は糖尿、高血圧、脂質異常症に代表される生活習慣病や、そこから派生する脳梗塞や心筋梗塞など、患者さんの普段の生活が症状と密接に関わっている。つまり、医師は患者の疾患の管理、もしくは健康管理を行わなければいけない状況になっているんです。そのためにも患者に対する接触の回数を増やす必要がある」

2つ目が「病院へのフリーアクセスの崩壊」。「高齢化や独居問題、ヘルパーの不足、もしくは社会保障費が上がっていく中で、一体誰が自分の親を病院に連れていけるのだろうかと。医師から患者へアプローチする在宅医療は自分が率先して行っていることですが、やはり医師にとっては非常に重労働かつ非効率であり、今後充実していくとは言い難いと思います」。

3つ目が「患者の意識改革」である。「患者さんは少し良くなったら薬の服用を止めたり、次の検査に来なかったりします。それは人間独自の怠慢……というのは言い過ぎかもしれませんが、弱さだと思うんですよね」

この3つの課題を、武藤はオンライン診療で一気に解決できると考えた。患者が血圧など日々の計測データを入力しておけば、直近の症状だけではない経過が医師にわかる。薬の服用や診療日時などのリマインドもできるし、何より家族の負担も減らせる。

追い風が、今年4月から始まったオンライン診療への保険適用だ。対面診療を原則とした上で、有効性や安全性への配慮など一定の要件を満たしてオンライン診療を行った場合にかぎり、「オンライン診療料」や「オンライン医学管理料」などを算定できるようになった。

だが、予想外に厳しくついた算定条件への戸惑いの声は少なくない。武藤は保険適用直後の取材で「新設の点数で想定されているシチュエーションはやや限定的過ぎるのではないか」と語っている。

一方、インテグリティ・ヘルスケアの社長・園田愛はこう答える。「ちょっと制限が厳しいなと感じたのは否めませんが、政策としてそういう道を選択したのは大切に育てていこうという姿勢の表れではないかと。幅広く認めて何か危ないことがあったら、一気にオンライン診療が駄目になってしまいますから。その施策の想いに呼応するように、事業者側も安全に一つひとつ検証しながら進めていくということが重要だと思います」。

文=堀香織 写真=ヤン・ブース

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