米CNBCテレビが取得した録音によると、ベゾスは先週シアトルで行った従業員との会議で、「アマゾンほどの大企業でも破産しないわけではない……実際に私は、アマゾンはいずれ倒産すると思っている。アマゾンは破産するだろう」と断言。「大企業を見ると、大方の寿命は30年余りであり、100年以上ではない」と主張した。
この大胆な主張は波紋を呼んだが、企業の寿命に関するベゾスの不穏な見解は正しいのだろうか? その答えは、“見方次第”だ。
まず、現S&P500企業の中には、創業から100年以上続いている会社も一定数ある。例えば、ウェルズ・ファーゴ銀行の創業は1852年、ボーイングは1916年、フォードは1903年だ。
しかし、S&P500上での企業の平均寿命を見ると、ベゾスの主張もあながち間違いではない。経営コンサルティング企業イノサイトによれば、企業がS&P500にとどまり続ける平均期間は1964年には33年だったが、2016年には24年へと減少。さらに、技術の変化や競合への対応の遅れから、S&P500上での平均寿命は2027年には12年にまで短縮する見通しとされている。
ただし、これらの企業は「倒産」したわけではない。S&P500企業の入れ替わりの主な理由は合併と買収(M&A)だ。姿を消した理由の半分以上が合併または買収で、時価総額の低下という理由はわずか3分の1、破産が理由だったケースとなるとさらに少ない。
一方、ベゾスの主張の裏付けとなる数字として、S&P500企業の平均創業年数がある。クレディ・スイス銀行による2017年の報告書では、企業の平均創業年数は20年に満たなかった。これは1950年代の平均60年より短いが、近い将来、やはり技術や競合の発展を理由にさらに短くなっていくと予想される。
だが、いずれの統計も、古い企業は破産する傾向にあることを確実に示しているとは必ずしも言えない。
ニューヨーク大学スターン経営大学院のリチャード・シラ教授(経済史)によれば、これらの数字は古い企業の廃業が避けられないことを示しているのではなく、“破壊”に成功する新興企業が増えていることを示している。「当然ながら、若い企業の方が古い企業よりも数で勝る」とシラ教授は指摘。「最も大きな類いの企業の多くは1880年から1920年の間に創業されたが、より多くの企業が1950年以降に大企業に成長しており、こうした企業はまだ100歳に達していない」と語った。
シラ教授に言わせれば、アマゾン利用者は同サイトがなくなることを心配する必要はない。「ベゾスは素晴らしいビジネスマンかもしれないが、歴史のレッスンが必要なようだ」