ビジネス

2018.11.25 11:00

「ターゲティングを超えた挑戦」 王室御用達モルトンブラウン社長のグローバル思考


「モルトンブラウン」はファッションやビューティーに対する感度が高いユーザーには知られているが、日本ではまだ認知度が決して高いとは言えない。

「英国以外での認知はまだ低いと考えています。日本を含むアジア全域、英国以外でのヨーロッパ全域での展開を今後加速していきます。まだ成長の初期にある日本は、2020年、2025年と中期事業計画を立て、ブランドの強みであるオムニチャネル展開(路面店、デパートなどのホールセール、トラベルリテール、eコマース、ホテルアメニティ事業)を積極的に推進していく計画です」


左から、ブランドを代表するアイコン商品「オレンジ&ベルガモットハンドウォッシュ」、クリスマス限定品の一番人気「フェスティブヴィンテージエルダーフラワーバス&シャワージェル」

一方で、日本人ならではの特徴とブランドとの相性の良さが高まってきていると言う。

「ボディケア、ハンドケアが人気で、他国同様に香水の割合が高まってきてます。中でもヘアケアは、他国よりも人気が高いです。香りの傾向としては、シトラスやフローラルを好む傾向にありますが、最近ではかなり複雑で重い香りも人気になってきており、日本のお客さまの香りへの成熟度を感じます。品質に対するこだわりが強く、見る目も非常に高い。その点を本社も非常に尊重しています」

また既存の30〜40代の層だけでなく、ミレニアル世代やZ世代のような若者層の獲得も強化していく。

「ミレニアル世代やZ世代は、ブランド発信の情報が届きにくく、かつ自分自身やそのコミュニティでのしっかりした価値基準を持っていると捉えています。ブランドではなく、その“本質”を見極める目ももっているので、こだわりぬいたモルトンブラウンにの香りにも魅力・共感性を感じてもらえる可能性が高いと期待しています」

来年発売を予定しているオードパフュームは、年代・性別・文化といった従来のターゲット設定を行わず、個人個人に訴えかける商品開発を行っていく予定だ。これまで、ビューティー業界は明確なターゲティングを行い、ブランド認知や売上促進を図ってきたが、今後は「モルトンブラウン」が言うような全方位型のパーソナルマーケティングが潮流となるかもしれない──。

連載:クリエーションの一歩先を読み解く
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文=砂押貴久

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