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日本と世界の「教育のこれから」


大人も一緒に、試行錯誤

学校で生徒たちは、自分の関心や感情と向き合う授業(Leading Self)や、ニーズを探りアイディアを形にするプロセスを学ぶデザイン思考を取り入れた授業(Leading Others)を通じてプロジェクト創りの基礎を身につけていく。加えて、毎週金曜の午後と年に2週間は、自由にプロジェクト創りとその推進に挑む時間として時間割に組み込んでいる。ただ、学校がやるのはここまでで、あとは原則、生徒主導だ。

学年の初めには、数十出てくるアイデアをお互いにプレゼンしあい、アイデアを絞り込み、仲間を募ったりすることで、学年ごとに7-9ほどのプロジェクトを決める。生徒たちに任せるのは、このプロセスからも学べることが多いと考えるからだ。

教師陣は顧問ではなく、あくまでファシリテーターとして参加する。ファシリテーターの間では、決して答えを与えないこと、失敗しそうになっても事前に決められたガイドラインの範囲内であれば、敢えて軌道修正をしないこと、などが合意されている。

しかし数年やってみて、教師だけでは、生徒たちが専門知識や技術の壁にぶち当たった時に、うまくガイドできないという課題が浮き彫りになってきた。そこで今年から新たに、AIやIoT分野の実業家、あるいは社会起業家や研究者などが、特にサポートしたいと思ったプロジェクトを選び、メンターとして通年伴奏するという取り組みも開始した。

失敗から学んで試行錯誤をするという資質は、生徒だけでなく教職員側にも問われているのだと感じる。



「文化が変わると、失敗も変わることを学びました」

別のプロジェクトを率いるBさんは、今年2回目のメンタリングのミーティングが終わった後に、「Ms. Lin, I have a question」と神妙な顔で近づいてきた。彼女は、このプロジェクトの原型となるアイデアを、既に中学生の時に母国で実現しており、プルデンシャル生命が主催する「Spirit of Community Award」という国際的な賞を受賞した実績を持っている。

その彼女が、悩んでいるというのだ。「台湾では、台湾人の仲間とだけプロジェクトを進めていた。これを今回学校の仲間たちと、日本や各国へ広げていくのを楽しみにしていた。ところが、出身国、あるいは生徒の個性によって、プロジェクトに対する考えや態度があまりにも多様で戸惑っている」と言う。

台湾では、ミーティングを開催したら皆が時間通りに決められた場所に来る。しかし73カ国の国籍が集まるこの学校では、そうはいかない。チームリーダーに期待される役割も、チームワークにおいて何が“当たり前”なのかもバラバラ。戸惑うばかりで、「自信がなくなってしまった」と悩んでいた。

文=小林りん 写真=UWC ISAK Japan

小林りんマツダ
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