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──3人で共同経営されていることも御社の特色かと思いますが、それは強みになっていますか?

間違いなく強みになっていますね。最も大きなアドバンテージは「スケールしやすい」という点です。いま、梅田がニューヨークで「NewsPicks(ニュースピックス)」の米国事業の立ち上げを行い、私が日本での経営の舵取りを行っているのですが、社長がひとりだけでは難しかったでしょう。

前にも新野がSPEEDAのアジア事業を立ち上げ、梅田がNewsPicksを立ち上げ、私がSPEEDAの日本事業を担当していました。初の海外進出と新事業の立ち上げという、2つの新しいチャレンジを行いながらも、足元できちんと事業をまわしていた。これは3人だったからこそ、できたことです。

──3人全員が社長としての資質があった、ということでしょうか?

それはわかりません(笑)。ただ、絶えずお互いに学び合っていました。新野が掲げ続けたミッション・バリューを重視した経営は梅田や私に強く浸透しましたし、私の「エンジニアの視点を大事にした組織形成」にも2人は影響を受けたと思います。上司はいませんでしたが、個性が違う3人で相互作用しあい、できることを広げていくことができました。

──他にもメリットはありましたか?

意見が割れると2で割れないことですかね(笑)。そこから3人全員が納得するまで議論をやり切らなければ次に進めません。この議論をしっかりとやり切っていったことで、経営判断の精度が上がり、常に3人が強度のある意思決定をしていくことができました。

ただこれは非常に大変な労力であり、バックグラウンドが違う3人の価値観をすり合うのにはかなりの労力がかかりました。特に初対面だった私は新野と合うのに2年かかりましたが(笑)、その間お互い挫けそうになったことはあると思います。複数人で創業した企業の中には、共同経営を解消する企業も多くあると聞きますが、あの2年の大変さを考えるととても理解できます。

最終的にはお互いのを違いを超えて、信頼し合って何でも言いあえる関係になれるかどうか。またお互いの実務能力のレベルが著しく離れておらず、能力に対しても信頼し合えるかどうか。この2つの視点が欠かせないと思います。

ミッションとバリューをひたすら磨き、言語化することが大切

──次世代の起業家には、どのような印象を持たれていますか?

僕が見えている範囲で申し上げるなら、みなさんとても「優秀」だと思います。創業当時の自分達では考えられないほど知識がありますし、自分が何をしたいかも言語化し、行動もできてる。豊富な情報をもとにしっかりと勉強されているんでしょうね。

学生の起業家の数もどんどん増えているので、今後まだまだスタートアップの世界も活性化していくのではと思っています。

ただスタートアップへの投資額も増えてきましたが、個人的にはまだシードステージ・シリーズAラウンドでの投資は少ない気がします。私たちはシードステージ・シリーズAラウンドで支援を行い、それ以降のラウンドは大企業へと繋いでいくことができたらと思い、「UB Ventures(ユービーベンチャーズ)」というVCをつくりました。もっとこの領域を「繋ぐ」役割を果たす企業が増えるとスタートアップ・エコシステムがさらに活性化していくと思っています。

また私たちも、創業当時はサービスが荒削りな段階だったにも関わらず、私たちのミッション・バリューに共感して支援いただいた企業の皆さまのおかげで、ここまで来られました。そのため、お世話になったスタートアップの環境に少しでもお返しをすることができたらと思い、先日「スタートアップ ファーストクライアント宣言」を発表し、ユーザベースグループでもスタートアップの方々が発案する新サービスの提案を受け入れていき、新しい可能性を応援していきたいと考えています。

──次世代の起業家へのアドバイスがあればお願いします。

まだまだアドバイスするほどじゃないですが……(笑)。最も大切なのはミッションとバリューをひたすら磨き、企業としてのブレない軸を作っていくことだと思います。その過程で自分たちのスタンスが明確になり、魅力的な企業体が出来上がっていきます。

そうすると、そのミッションとバリューに共感した仲間が集まってきます。ひとりでやれることには限界がある中で、どんな仲間と一緒にやっていくのかはとても大切です。創業期は幾多の困難がありますが、それを越えることができたのは支えてくれた仲間がいたからです。ミッションとバリューを強く持っていれば、困難を一緒に越えていける信頼し合える仲間を見つけていくことができると思います。

わたしたちもまだまだ10年を超えた企業です。みなさんに負けないよう、チームみんなで頑張っていきます。

文=松浦朋希

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