1958年に誕生したチャールズ皇太子は、王位継承を待つ期間がエドワード7世を超え、歴代最長記録を更新中だ。国王となれば、史上最高齢の英君主となる。皇太子が節目となる年齢に達したことを受け、君主制の支持派・反対派、王室専門家やジャーナリストの間では、皇太子の後継者としての適性を擁護・批判する議論が再燃している。
一方、在位期間が歴代英君主で最長となっているエリザベス女王(92)は至って健康で、退位の見通しは今のところない。しかし同時に、高齢に伴う体力面での制約を踏まえ、女王の公務を皇太子が担う機会は増えており、王室のバトンの“非公式”な受け渡しが始まっている。英紙タイムズのフィリップ・コリンズが述べたように「チャールズ皇太子はこの役割を受け継ぐのをずっと待っており、これまでの人生は全てがその前座だった」のだ。
英週刊誌カントリー・ライフ(Country Life)は、皇太子の誕生日を記念し、皇太子を編集者として迎えた特別号を発行。そこでは、七面鳥に話しかけたり、キジのクランブルパイが好物だったり、スコットランドのバルモラル城を走り回るキタリスに名前をつけたりなど、皇太子のプライベートな側面が明らかにされた。また、石の加工や生け垣作り、チーズ作り、森林管理といった、皇太子のかなり特殊な趣味も紹介されている。
皇太子は、自ら執筆した長文論説記事で、「私たちは、田舎の素晴らしい人々やスキル、活動を経験する機会に恵まれた最後の世代かもしれない」と書き、田舎や田舎の人をおろそかにしてはいけないと警鐘を鳴らしている。
英国ではさらに先週、チャールズ皇太子の誕生日を祝い、皇太子の王位継承に肯定的な世論を醸成すべく、1時間のドキュメンタリーが放映された。その中で皇太子は、自身の「政治で異を唱える者」としての役割を諦め、党派争いを超越した君主になることを約束した。
チャールズ皇太子は「私が王位を継承したら、今と全く同じように突き進むと考えられているが、それは全くナンセンスだ」と語り、国王になったら国家元首としての政治的中立性を尊重すると確約した。