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住友生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命…。日系生保各社がこぞって始めた「健康増進型」保険。南アフリカの異端児が世界の保険の常識を一変させた。


「企業の至上命題は『株主を金持ちにすることだ』って言われていたけど、我々のゴールは『人々を健康にすること』だった。周りには狂っていると思われたね」

エイドリアン・ゴアは創業当時のことをそう振り返る。創業したディスカバリー社が生み出したのが「健康増進型」と呼ばれる新しい保険のモデル、バイタリティだ。バイタリティの加入者は、健康になればなるほど見返りが得られる。定期的にジムに行き、野菜を食べ、健康診断を受ける顧客に、保険料割引や提携企業のサービス特典といった『報酬』が与えられるのだ。

南アフリカのヨハネスブルクで生まれた。タバコ売りの父に育てられたゴアは、保険がないまま病気や怪我をして経済的に苦しむ人々を見た。保険会社でアクチュアリーとして働き、人々を健康にする保険が必要だと思った。バイタリティはウェアラブル端末やスマートホンを通じ、加入者の健康増進の取り組みをポイント化して把握。そのデータによると、加入者の健康行動は狙い通り増えている。

画期的だったのは、生命保険会社と加入者の関係性を変えたことだ。各社は顧客がより健康的でより長く生きることでそのお金を投資に回し、成長につなげることができる。 バイタリティは米英、イタリアなどの欧米諸国やシンガポール、オーストラリアなど世界16カ国の保険会社などで採用され、2018年までに1000万人の加入を見込む。特に爆発的に成長しているのが中国の民間保険大手、平安保険。加入者が1年で240万人を超えた。

昨年、ディスカバリーは創業25年を迎えた。ゴアが今、興味を持っているのが銀行業だ。免許をすでに取得し1億ドル以上の規模を想定する。強みはディスカバリー社のもつ膨大な行動データだ。

「素晴らしい25年だったが、過去を振り返る人なんて僕らのチームにはいないね。僕らは創造者だ。デイ・ワンみたいなものだね」(ゴア)


エイドリアン・ゴア◎ディスカバリー創業者。同グループCEO。米保険会社でアクチュアリーとして勤務後、1992年に創業。同社の大株主でもある。2015 年にForbes Africaの50 RICHESTに選ばれた。

文・写真=ジェイ・カボズ 構成=フォーブス ジャパン編集部

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