「日本の起業家ランキング」に選出されてきた、起業家の多くは上場もしくはM&Aによるイグジットなど、次なるステージへと歩みを進めている。そんなForbes JAPAN恒例の「日本の起業家ランキング」に選ばれてきた起業家たちは、いま何を考えているのか。
11月22日の発表に先立ち、4日連続で過去の選出者にまつわるコンテンツを公開する。第2回目に登場するのはマネーフォワードの辻 庸介。2016年、2017年と2年連続で起業家ランキングに選出され、2017年9月に東証マザーズへ上場した。
辻が語る起業家ランキングの意義、そして次世代の起業家へ贈るアドバイスとは──。
創業から5年で上場。ようやくスタートラインに立てた
──「日本の起業家ランキング」を受賞されたときの感想を教えてください。
とても嬉しかったですね。あのときの気持ちは今も忘れられません。私は『Forebs JAPAN』が開催している、日本の起業家ランキングはとても有意義なものだと思っています。
「数十億円調達した」といった資金調達などの情報は、スタートアップ・コミュニティの間では共有されますが、業界の外の人たちにはほとんど知られていません。そういう意味でグローバルビジネス誌であり、ブランド力のある『Forbes JAPAN』が起業家を表彰することは日本のスタートアップ・エコシステムを発展させるのに一役買っていると思います。
有難いことに、私も2016年、2017年と2年連続で選出していただきました。私たちの事業は「信頼」が何よりも大事ですので、選出していただけたことで、ステークホルダーの方々に信頼していただけるようになったと思います。
当時、会社の規模が小さかったこともあり、「よく分からない会社には入らない方がいい」と家族にマネーフォワードへの入社を反対されている新入社員がいたのですが、家族に『Forbes JAPAN』の誌面を見せたら、納得していただけました。さまざまな方面で良い影響があったと思います。
──過去4年間で選出された起業家の多くは、上場やM&Aによるイグジットを果たしています。
メルカリやラクスルは今年上場しましたし、ソラコムはKDDIに買収され、ライフロボティクスはファナックに買収されるなど、みんな次のステージに進んでいますよね。
そういう意味では、私は早く日本の起業家ランキングを卒業したいと思っていました。なるべく早く、ソフトバンクの孫正義さん、ファーストリテイリングの柳井正さんといった日本を代表する超一流の経営者に少しでも近づけるよう、次のステージに進み、勝負していきたかったんです。
創業から5年で上場。上場してみてやっとスタートラインに立てた気はしますが、改めて彼らの凄さを目の当たりにし、自分の至らなさに打ちのめされる毎日です(笑)。
──上場して何か変わったことはありましたか?
仕事内容など、特に大きな変化は感じていません。上場前と同じく、創業時から掲げるミッションやビジョンの実現に向けて、一歩一歩進んでいます。
ただ、公開情報が増えたことで金融機関や会計事務所さんなどに信用してもらいやすくなったこと。これまでお会いできなかったような、偉大な先輩経営者にお会いする機会が増えたことは大きな変化かもしれませんね。
個人的には経営者は常に勉強し、成長し続けていかなければいけない存在だと思っています。健全な危機感を常に持ちつつ、偉大な先輩方から多くのことを学び、さらに成長していきたいですね。