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──部下は何人いらっしゃるのですか。

今は約80人です。日本にもチームがありますし、オーストラリアにも、インドにも、スロバキアにも、ドイツ、ロンドン、アイルランドにも、世界中にチームがいて、私は彼らのことが大好きです。日本には年に3、4回訪れていますね。

おそらく一年のうち50%は出張しています。時期にもよります。2カ月自宅にいて、突然どこかに行くこともありますし、私がこの立場に就いた昨年はもっと出張していました。去年の4月は、飛行機で6泊を過ごした記憶があります。

──いまのキャリアに到達された理由として、自身のどのような能力や独自性が強みになったとお考えでしょうか。

「フレキシビリティ」、柔軟性ですね。「アダプタビリティ」、適応性といってもいいかもしれません。あらゆる課題に対し、常に自分が望む方法でうまくいくわけではなく、それに対しどう対応するかを知ることが重要です。

私は徐々に自分自身が強くなってきていると感じますし、決断も早くなってきています。すべての国はユニークで、各国の全く違う文化に適応しているためです。

──女性としての強みについてはどうお考えですか。

女性や男性といった切り口で考えることはほとんどありません。例えば日本のマーケティングチームを見ると、男性リーダーも女性リーダーもいます。デルではかねてより「女性の数は十分か」もしくは「十分な数の男性がいるか」といったことは考えていません。「実際に誰がその仕事に最も適しているのか」ということだけです。

私は「女性だからこの仕事をすることができた」とは思われたくありません。私が今のポジションを得たのも、「女性だから」という理由ではないと強く信じています。私はこの仕事に最も向いていたから、このポジションに就いた。私は“たまたま”女性であった、ということです。

私のチームの男女比はおおよそ50/50で、女性のリーダーも男性リーダーもいます。私が最も重要にしている戦略は「その仕事にとって最良の人かどうか」ということです。 それが最も重要なことです。女性と男性は本質的に異なる考え方をし、異なった行動をします。それは本当に良いことで、チームにとって有益なことです。

──おそらく現実問題、女性としての仕事と家庭の両立はやはり大変なことではないでしょうか。

女性は今も依然として、子供や親の面倒をみるなど家族内で大きな仕事をしています。私もそれを経験しています。実際私は仕事を楽しみ、自宅での人生も楽しんでいます。私は子供と一緒にいたいですし、料理も大好きです。

私が学んだこととしては、まず、自分が何を期待しているのかを周囲に伝える必要があるということです。私は料理が大好きだと周囲に言っています。私は毎晩一定時間、電話を受けていません。なぜなら料理をし、家族と食事をするから。それ以上に重要なことは他にありません。



私は頭の中にこんなイメージを持っています。空中にたくさんのものがあり、それらのうちいくつかはガラス球です。他のいくつかはボールです。ガラス球はあなたが絶対に落とせないもので、子供や両親などあなたが世話をしなければならない人や物事のことです。そしてそれは他の人に伝えるべき、優先事項です。あなたはあなたの人生で何が起こっているのかを、他の人に伝えるべきなのです。

デルは、その優先事項を理解してくれます。私の母が病気になったことがありました。彼女はドイツにいて、私はオースティンにいました。私は母と一緒に、ドイツでほぼ3カ月一緒に過ごしました。仕事上も全く問題はありませんでした。本当に大丈夫だったのです。

私は彼らに、母親のことは自分にとって重要であると伝えました。私のチームもマネージャーも、完全に事情を理解し、会議の時間が変わることを理解してくれました。みんながそれを知っていれば、あなたを助けてくれます。

家庭においては、もし母親に余裕があれば、子供をあちこちに連れて行くことができます。しかし私にはその時間がありません。だから子供たちには、自分自身で自転車で行けないところは行けないのだ、と伝えていました。自分でサッカーの練習に行くことができない場合、サッカークラブに参加することはできません。私は連れていってあげることはできませんから。

彼らにとって叶わなかったこともあったかもしれませんが、決して私に不平を言うことはありませんでした。「僕の友達はこんなことをしてもらっている」などと言いませんでした。しかし、私たちは一緒に素晴らしいバケーションを過ごし、インターナショナルな旅をしてきました。彼らはサッカークラブを逃しているかもしれませんが、他の人にはない人生経験があります。そして、それを実感しています。

すべては選択です。これは家族の選択であり、何をしたいのかということです。理解のある夫を持てたことも救いになりました。もし完璧にあなたの役割を演じきれなかったとしても、あなた自身を許してあげてください。

文=飯村彩花、林亜季 写真=林亜季

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