そしてアウディは、単に軽量なだけではなく、アウディのもう一つのセリングポイントでもあるデザイン性を損なわないように、レーザー溶接や最新の品質検査などを取り入れることで、いかに“ビジュアル・ウェイト”を軽く見せるかにもこだわりを持っている。
ネッカーズルム工場での生産ではない2代目となる「Q7」にもその知見は大いに活かされ、初代と比べて300kgものダイエットに成功している。全長×全幅×全高=5070×1970×1705mmというグラマラスなスリーサイズを持つがゆえに、車両重量は2.1トンと重量級ではあるが、とはいえこのクラスのSUVとしては画期的な軽量化が施されている。身軽になったボディに、333ps/440Nmもの大出力を発揮するスーパーチャージャー付き3リッターV6エンジンを積むのだから、走りっぷりの力強さは想像以上だ。
軽量素材を多用するものの、最新の接合技術の採用でボディ剛性を高めることにより、しっかりと地を掴むようなシュアな乗り味を実現した。なかでも、エアサスを採用する上級グレードではしっとりとした高級感のある乗り味を実現している。一方で、アクセルペダルを踏み込むと、強大なトルクが湧き出し、スポーツカーよろしく身体ごとシートに押し付けられる。それでいて、3列目のシートを備え、シートを倒せば広々とした荷室が現れるという使い勝手の良さもある。
クワトロ、ライトウェイト、デザインと、アウディの真骨頂を注ぎ込んだ「Q7」は、洗練のラグジュアリーネスと抜群の使いやすさで、上質な暮らしを提供する。
Audi Q7 3.0 TFSI quattro
DATA
駆動形式 : AWD
全長 : 5070mm
全幅 : 1970mm
全高 : 1705mm
最高出力 : 245kW(333ps)/5500-6500rpm
価格 : 9,290,000円(車両本体価格・税込み)
問い合わせ :Audiコミュニケーションセンター 0120-598-106
Audiの軽量化技術を支える研究拠点
本社のあるインゴルシュタットと並ぶアウディの一大拠点であるネッカーズルムは、古くからネッカー川とズルム川の交差する肥沃な地域として歴史あるエリアであり、19世紀後半からは工業都市として発展しており、ここにアウディが拠点を開いたのも納得できる。
1994年にフラッグシップモデルの「A8」を発売した当時、アルミニウムを活用したボディ骨格が大きな話題を生んだ。軽量化に特化して研究開発を進める「Lightweight Design Center」が設置されており、170人もの研究者が研究機関や産業パートナーと緊密に協力して研究開発を進めている。アルミニウムはもちろん、ハイテン鋼、マグネシウムやカーボン複合など、幅広い分野を包括した研究開発を進めている。
軽量化による効用は、走行性能や低燃費化だけではなく、デザインの可能性の広がりももたらす。プレミアム・ブランドならではの軽量化の応用といえる。