調査会社NPDグループによれば、スポーツウェアの市場規模はボトムスとレギンスだけで、およそ10億ドル(約1135億円)に上っている。さらに、ルルレモンやその他のブランドは手掛ける製品の種類を大幅に拡大しており、ヨガとは全く無関係の製品も数多く取り扱うようになっている。
そうしたトレンドに乗って事業を拡大してきたルルレモンの時価総額は、150億ドルを超えるまでに上昇している。
米投資銀行トライアングル・キャピタルの幹部で小売業界を専門とするキム・カーミッツによれば、ヨガ関連のビジネスの成長から恩恵を受けているのは、ルルレモンだけではない。また、「アディダスやアンダーアーマー、ナイキといった大手スポーツ用品メーカーだけでもない」。
「中小規模のその他のメーカーも、同じ市場で成長を遂げてきた。そして、ヨガパンツを取り扱うだけにとどまらない大規模な業界が生まれた…それが、“アスレジャー”だ」
アスレジャーの「特異性」
カーミッツによると、アスレジャー市場はそれ以前に存在したその他の市場の大半と異なっている。ファッション業界においては、新たな製品分野は誕生すると急成長を遂げ、一定の期間がたつと市場が飽和状態に達して成長が鈍化。競争は激化し、価格と利益に圧力がかかり、競合する各社は効率の向上を目指して合併を検討するという経過をたどることが多い。
これは、ファッション業界で繰り返されてきたパターンだ。だが、アスレジャー市場にこうしたことは起きていない。そして、こうしたアスレジャーの持続的な成長の理由を説明するのが、「ウェルネス」という言葉だ。